オープンに協議 必要

11月3日付・読売新聞10面の北側党憲法調査会長インタビュー記事

◎公明党の「加憲」は、どんな考え方なのか。
 現行憲法は、戦後の民主主義発展の基盤をつくったという意味で高く評価している。特に国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの原理はこれからも堅持しなければならない。
 ただ、公布から70年余りたち、大きく時代が変化している。入れるべき新たな規定があれば、憲法に加えることは当然あっていい。党内で過去に議論された項目に、例えば地球環境の保全がある。現世代が次世代に良好な地球環境を残していくことは大事な責務だ。
 自民党案の緊急事態対応のうち、国会議員の任期延長は議論されていい。憲法上、国会議員の任期は明確に規定されているが、国難とも言うべき大災害があった時に国政選挙を実施することは容易ではない。緊急時にこそ議会制民主主義をきちんと機能させることが大切で、国会の役割は大きい。ただ、議員の任期が恣意的に延ばされることがないよう、要件を明確に書き込む必要がある。
 緊急政令制定権は必要ない。現行で不十分なら危機管理法制の中で整備すべきだ。

◎ほかの3項目の自民党案をどう評価するか。
 我々は9条1、2項を維持する立場である。安倍首相の「一部の自衛隊違憲論を払拭したい」という動機は理解できないわけではない。ただ、多くの国民が違憲と考えていない中で本当に必要なのか疑問がある。3年前に成立した安全保障法制をしっかりと運用していく方が大事だ。
 9条に関する改正は、絶対に失敗が許されない。わが国の安全保障や自衛隊の士気に大きな影響を与えることになりかねない。国民投票で圧倒的多数で承認されるという確信を持てない限り、慎重であるべきだ。
 参院選の合区解消のための自民党案は、両院は全国民を代表する議員で組織するとした憲法43条との整合性が問題となる。「全国民の代表」である以上、1票の価値は平等でなければいけない。参院を地域代表とするなら、参院の権限や役割を見直していく必要があるだろう。
 教育の充実規定はその通りだが、教育基本法などに詳細に書いてある。あえて憲法に書く必要性はあるのか。

◎首相が提案した与党内調整を断った理由は。
 憲法改正は与党で事前協議する性格のものではないからだ。政府提出の予算案や法案とは次元が異なる。改正案を国民に発議する権限を持つのは国会であり、憲法審査会を中心として政党間でオープンに協議していくものだ。
 臨時国会では国民投票法改正案を成立させたい。投票の利便性を向上させるもので、野党も反対しないと思う。野党が求めている国民投票運動中のCM規制の強化は、具体的な提案があれば真摯に議論したい。しかし、すぐに結論が出る話ではないだろう。
 自民党が憲法改正案を憲法審査会で示したいという気持ちは理解できる。憲法の中身の議論も並行して進めればいい。スケジュールありきではなく、できるだけ多くの政党の合意を形成していくことが大事だ。

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