“危機”挑む対策 迅速に

令和2年4月27日 衆院本会議
家計に10万円 事業者支援
医療崩壊防止へ 現場のサポート最優先
公明党の北側一雄です。
私は、公明党を代表して、ただ今議題となりました令和2年度補正予算案について、質問致します。
 新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延が続くなか、我が国では、特措法に基づく初の「緊急事態宣言」が発令され、その対象地域は全国へと拡大しました。国民生活や企業活動への影響は深刻さを増し、事態の収束が見えない中で、国民の不安も日増しに高まっています。
 こうした中、必死に医療現場を支えて頂いている医療従事者の皆様に、心から敬意と感謝を申し上げたい。また、地域に感染が拡大する中でも、社会生活を維持するために不可欠な事業を、懸命に営んで頂いている多くの皆様にも、重ねて感謝したいと思います。
 感染症の発生以来、私たちの生活や経済をめぐる状況は、日々刻々と、大きく変化しています。国民のいのちと暮らしを守るため、今、もっとも重要なことは、政策実行のスピードであり、迅速性です。また、状況の変化に機敏に対応する柔軟性であると考えます。
 以下、国民生活に大きく関わる重要課題について、お聞き致します。

【緊急事態宣言】
 はじめに、緊急事態宣言について伺います。4月7日の発令から20日が経過しました。この間、政府は、感染症の拡大を防止するため、国民の皆さんへの外出自粛要請をはじめ、様々な対策を実施してきました。
 その効果も含め、現状をどのように認識されていますか。また、5月6日に緊急事態宣言の期限が到来しますが、宣言を解除するかどうか、その見通しと判断基準は何なのか、総理の見解を伺います。

【医療崩壊の防止】

検査体制強化へ 支援急げ
 

 医療崩壊を防ぐための取り組みが、今、何よりも重要です。
 全国的にクラスター感染や院内感染が相次いで報告され、まさに医療現場は危機的状況にあります。
 この危機に立ち向かい、その最前線で奮闘して頂いている医療従事者の方々へ、医療用のマスクやガウンなどの増産・優先配布が進められています。しかし、依然として、こうした防護具不足は解消されていません。過酷な環境で働く医師や看護師への支援は、待ったなしの最優先課題です。医療現場で働く方々への支援について、総理の見解を求めます。
 日本の感染拡大の状況は、いまだ予断を許しません。都市部では、感染経路の不明な感染者が増加しています。院内感染を防ぐ上でも、検査体制の強化が急務です。
 しかしながら、全国の保健所の業務は急増し、その負担は極めて過重となっています。保健所や検査機関に対する支援を強化しなければなりません。
 一方で、PCR検査を必要とする患者に対して、検査を迅速に実施できていない。こういう状況にあります。
 こうした中、PCR検査を拡大するため、いくつかの地方自治体では、地域の医師会等と連携し「PCR検査センター」を設置する動きがあります。国は、検査センターの設置や運営などへの支援を通じて、可能な限り多くの地域でこうした取り組みが実施できるようにすべきです。
 また、新型コロナウイルスの対応が急増し、がんなど重篤な患者への医療提供の遅れや、救急医療体制にも深刻な問題が出ています。こうした事態に対応するため、それぞれの医療機関の役割を明確にし、地域全体で医療提供体制を確保する必要があります。
 さらには、重症化を防ぐと期待されているアビガンなどの治療薬の開発を、安全性を確保しつつも、迅速に進めていかなければなりません。
 以上、検査体制の強化、医療提供体制の整備、治療薬の迅速な開発に向けて、総理の見解を求めます。

【すべての人々への支援(特別定額給付金)】

市町村の実施に万全を期せ

 「特別定額給付金」について伺います。 4月7日の緊急事態宣言後、日々の経済活動への影響、また、日常の生活への影響は、全国すべての人々に深刻に及んでいます。
 こうした状況の大きな変化を敏感に受け止め、日本全体でこの危機を克服しようとの、連帯のメッセージを送る意味も込めて、安倍総理は、所得制限なく、一人当たり10万円の給付を実行するとの判断をされました。
 公明党は、総理のこの決断を高く評価いたします。 改めて、全ての人々に10万円の給付を行う特別定額給付金の意義について、総理に伺います。
 その上で今後は、お一人お一人に、いかに迅速に給付できるかが重要です。そのため、事業の主体となる市町村に対して、必要な支援を行い、円滑な実施体制を整える必要があります。また、給付金の申請について、国民に分かりやすく周知するとともに、すべての人に給付漏れが生じないよう、万全を期していただきたい。
 給付の時期を含め、給付金の迅速かつ円滑な実施について、総理に伺います。

【事業の継続・雇用の維持】

制度の広報、分かりやすく

 事業の継続と雇用の維持についてお伺いいたします。
 今般の感染症の影響は特定の業種に留まらず、広範かつ甚大なものとなってきています。政府は、雇用を維持するための雇用調整助成金の拡充、事業者の資金繰りを支援するため、日本政策金融公庫などに加え、民間金融機関を通じた実質無利子・無担保の融資、さらには事業者を支える持続化給付金の支給、また無担保かつ延滞税なしの納税等の猶予など、財政・金融・税制のあらゆる政策手段を総動員して事業者を守り抜くこととしています。
 しかしながら、融資の窓口には相談、申請が殺到し、また雇用調整助成金の現時点での支給件数は、極めて低調と言わざるを得ません。
 いま現場が一番求めていることはスピードです。まずは、利用する事業者の立場に立って、各種制度の分かりやすい広報に努めて頂きたい。
 その上で、事業継続、雇用維持のためには、ともかく迅速に、事業者の皆さんに資金を届けることが急がれます。平時の先例にとらわれることなく、申請手続きのさらなる大胆な簡素化を図るべきです。 例えば、申請に必要な提出書類も、可能な限り、事後の提出でも構わない、このような思い切った対策を取るべきです。また、人員の確保など執行体制の強化を図り、迅速な融資、給付を実現して頂きたい。
 事業者への迅速な支援を実現するための取り組みについて、総理の答弁を求めます。
 外出の自粛要請や休業要請等により、多くの事業者の売上げが急減しています。持続化給付金は、事業全般に幅広く活用できるため、事業者からは、いつから支給が始まるのかといった声が数多く寄せられています。
 持続化給付金の申請手続や給付の開始時期などについて、総理に伺います。
 これに関連して、不動産を賃借して飲食店等の事業を営んでいる中小事業者のなかには、売上げが大幅に減少し、主要な固定経費である賃料の支払いが困難になっている事業者が多くあります。前述の持続化給付金や無利子無担保の融資、さらには国税・地方税等の納付猶予などの施策が実施されることになりますが、こうした支援策だけで事業の継続が図れるのか、さらなる対策を検討する必要があると考えます。
 ちなみに、神戸市は、店舗が入居する不動産オーナーが、緊急事態宣言中に賃料の月額2分の1以上減額した場合に、減額分の10分の8相当額を、上限200万円までオーナーに補助をするという制度を開始いたしました。きわめて参考になる仕組みであると思います。西村担当大臣の答弁を求めます。

【地方自治体の取り組みへの支援】
 緊急事態宣言が全国に出される中、休業要請に応じた事業者に対し、多くの地方自治体が協力金等の支給を決定しています。その財源として、今回の補正予算に盛り込まれた1兆円の地方創生臨時交付金を活用できるとの政府方針も示されました。
 医療提供体制の確保をはじめ、国民の生活を守る最前線に立っているのは、都道府県であり、市町村です。地方自治体との緊密な連携をさらに進めるとともに、予備費の活用も含め、さらなる財政支援が今後とも必要です。総理の答弁を求めます。
 今から100年前、「スペイン風邪」と称される感染症が、世界を席巻しました。世界で4000万人以上が死亡し、日本でも45万人が亡くなったとされています。今、私たちは、再び重大な感染症に直面しています。
 この危機を乗り越えるためには、国民の皆さんとの協力、連携が何よりも不可欠です。そして、こうした危機時にこそ、政治のリーダーシップが求められます。
 公明党は、これからも政府、地方自治体と緊密に連携し、国民のいのちと暮らしを守るため、全力で取り組むことをお約束し、私の質問を終わります。ありがとうございました。

<答弁> 安倍内閣総理大臣

 北側一雄議員にお答えをいたします。
 緊急事態宣言後の現状認識及び解除の判断要素についてお尋ねがありました。
 緊急事態宣言後の現状については、22日の専門家会議において、人の流れについて、都市部では、感染拡大前に比べて、平日でおおむね6割以上、休日ではおおむね7割以上減少している状況にあるとされたところです。
 他方で、接触機会の8割削減に向けては、より一層の国民の皆様の努力が必要な状況との指摘もいただいております。この緊急事態をできるだけ早期に収束に向かわせるためには、今が非常に重要な時期となります。専門家から示された10のポイントも参考にしながら、国民の皆様により一層の御協力をお願いしているところであります。
 緊急事態宣言の解除の可否については、専門家の皆様の提言もいただきながら判断していきたいと考えておりますが、まずは、何としても8割の接触機会の低減を実現するべく、政府としても、感染拡大防止に向けた取組を徹底してまいりたいと考えております。
 新型コロナウイルス感染症の検査体制等についてお尋ねがありました。PCR検査については、医師が必要と判断した方が確実に検査を受けられるようにすることが重要と考えており、緊急経済対策において、検査体制の1日2万件への増加を行うこととしています。
 PCRセンターについては、感染を予防しながら、効率的かつ集中的に検査を実施する取組として効果的であると考えており、整備に要する費用や運営費について国として支援を行い、後押ししてまいります。
 また、重症者対策を中心とした医療提供体制の強化のため、国で確保した医療用マスク、ガウン等の優先配布、重症者に対応できる医師、看護師等の確保、病床及び軽症者等の療養場所の確保、帰国者・接触外来の拡充も含め、人、物両面からの抜本的強化を図ることとしています。
 医療体制の整備については、常に感染リスクに向き合う医療従事者の処遇改善に資するため、重症者治療への診療報酬を倍増するとともに、自治体における病床の確保やPCR検査機器の整備等を緊急包括支援交付金により支援することとしております。
 また、新型コロナウイルス感染症以外の患者への対応についても、重症化しやすい方が来院するがんセンター等において、原則として新型コロナウイルス感染症が疑われる方の外来診察を行わないなど、状況に応じた体制整備を行うこととしています。
 治療薬、ワクチンの研究開発については、政府としても、一日でも早く国民の皆様の不安を解消できるよう、日本じゅう、世界じゅうの企業、研究者の英知を結集して開発を進めているところです。
 我が国が開発したアビガンについては、既に2000例以上の投与が行われ、症状改善に効果があったとの報告も受けています。希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大するとともに、可能な限り早期の薬事承認を目指すべく努力しております。今般の補正予算においては、アビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大することとしています。
 特別定額給付金についてお尋ねがありました。感染症の影響が長引き、全ての国民の皆様が厳しい状況に置かれ、ウイルスとの闘いが長期戦も予想される中で、国民の皆様とともにこの難局を乗り越えていくため、全国全ての皆様を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行うことといたしました。 簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うという給付金の趣旨に鑑み、早い地方団体においては5月中のできるだけ早い時期を目標に給付を開始していただくこととなるよう、準備を進めています。
 また、総務省において、市区町村に対して早期の情報提供を行い、しっかりと市区町村の準備を支援するとともに、国民に対しては、ホームページやコールセンターなどによるわかりやすい周知に努めてまいります。一日も早く国民の皆様のお手元に給付金をお届けできるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 中小・小規模事業者の皆さんに対する各種の支援策についてお尋ねがありました。今回の感染症によって甚大な影響が生じる中で、歯を食いしばって頑張っておられる中小・小規模事業者の皆さんに対して、資金繰り支援、人件費の助成、現金給付など、あらゆる手を尽くしてその事業継続を下支えしていく決意であります。
 何よりも重要なことは、こうした支援策を一刻でも早く事業者の皆さんに御活用いただくことであり、政府として、周知、広報の徹底に加えて、手続のスピードアップに取り組んでまいります。
 まず、雇用調整助成金については、労働局、ハローワークの人員体制の大幅拡充、記載事項の半減、計画書の事後提出の許可など、申請手続の簡素化、迅速化を行ったところであり、引き続き、迅速な給付の実現に努めてまいります。
 実質無利子無担保、最大5年間元本返済据置きの融資制度についても、手続の簡素化などを進め、日本政策金融公庫において、この1カ月余りで既に15万件を超える融資を実行しております。加えて、補正予算が成立すれば、早ければ5月1日にも民間金融機関でも同様の融資の受け付けを開始し、より多くの事業者の皆様に一刻も早く融資を行うことができるようにいたします。
 さらに、今回の緊急経済対策では、大変厳しい状況に置かれている中小・小規模事業者の皆さんに最大200万円の現金給付を行うことといたしました。事業継続をしっかりと下支えするためにも、使途に制限のない現金を中小・小規模事業者の皆さんのお手元に一日も早くお届けしたいと考えております。
 この持続化給付金については、補正予算成立の翌日から申請受け付けを直ちに開始し、早ければ5月8日にも事業者の皆さんへの給付を開始することを目指し、スピード感を持って対応してまいります。
 地方自治体への支援についてお尋ねがありました。御指摘の臨時交付金は、各自治体が、目的に対して効果的な対策であって、地域それぞれの実情に合わせて必要なものであれば、御指摘のいわゆる協力金を含め、それぞれの御判断によって自由度高く使うことができる仕組みといたします。
 その上で、医療提供体制の確保などについては、別途、緊急包括支援交付金による支援を行うこととしており、今後とも、あらゆる手を尽くして、最前線で奮闘する自治体をしっかりと支えてまいります。

<答弁> 西村経済再生担当大臣

 北側一雄議員から、事業継続へのさらなる対策についてお尋ねがございました。
 議員御指摘のとおり、多くの飲食店の方々から、売上げが大きく減少する中で、月々の固定費である家賃の支払いが厳しいとの切実な声が上げられていることは十分認識をいたしております。
 また、家賃に関する支援については、御指摘の神戸市を始めとして、地方でも独自の取組が行われているものと承知をいたしております。
 政府としては、緊急経済対策等において、テナントの皆様が特に支払いに苦しんでおられる固定費に対して、給与については、中小企業に休業手当の最大10割を助成することを含めた雇用調整助成金の拡充、家賃については、使途に限定ない200万円、100万円の持続化給付金の早期支給、つなぎ資金としての官民の金融機関による実質無利子無担保融資、さらに、公共料金、社会保険料、国税、地方税の延納等の支援を行うとともに、家主の皆様に対して家賃の支払い猶予等の対応を要請いたしております。
 また、家主の皆様も同様に苦労されておられることから、家主の皆様に対しても、持続化給付金の早期支給、固定資産税について今年度分の支払い猶予と来年度分の減免、欠損金繰り戻し還付の対象拡大、家賃支払い免除等により生じた損失の損金算入、公共料金、社会保険料、国税、地方税の延納、金融機関に対する既存債務の返済猶予等の要請等の支援を行い、家賃の支払い猶予等に応じていただきやすい環境づくりにも努めているところであります。
 また、家賃の負担軽減に当たっては金融機関の対応が重要であり、金融機関に対しては、テナントについても家主についても、既存債務の返済猶予等を繰り返し強く要請をしているところであります。
 加えて、事前着手も可能な1兆円の地方創生臨時交付金の活用により、地域の実情に応じた柔軟な対応、支援が可能となっております。
 これらの支援を一日でも早くお届けするため、できるだけ早く補正予算案等を審議、可決いただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。また、これまでと同様、状況をよく見きわめ、必要に応じて臨機応変に対応してまいります。
 国民の皆様が連帯し、負担を分かち合いながら、ともに手を携えてこの難局を乗り越えていけるよう、引き続き、感染症対策や事業継続、雇用や生活を守るための支援に全力で取り組んでまいります。

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