7項目の国民投票法改正案、CM規制など

 4月22日に行われた衆院憲法審査会で北側一雄副代表は、国民投票法改正案の提出者として答弁に立つとともに、自由討議で意見表明した。國重議員の質問に対する答弁、意見表明(要旨)は次の通り。

 國重 公明党の國重徹です。まず、七項目(の国民投票法改正)案につきましては一日も早い採決を求めたいと思います。次に、七項目案を採決した後の憲法審査会の議論の在り方につきましては、CM規制を始めとする国民投票の議論とともに、憲法本体の議論も同時並行で行っていくべきであると考えます。このうち、CM規制に関する今後の国民投票法の議論の在り方につきましては、先週、新藤筆頭幹事から、特に幹事会メンバーを中心に、論点整理をして、一つの方向性に向かって議論を収れんさせていきたい旨の御提案がございました。私も、以前、CM規制などの国民投票法の議論の在り方として論点整理や共通認識の確立が不可欠であるということを訴え、まずは幹事会で論点を洗い出すことを提案させていただいておりまして、新藤筆頭幹事とまさに同じ考えであります。
 我々は、国民の代表としてこの憲法審査会に臨ませていただいております。その大切な審査会における議論が課題解決に向けたかみ合ったものとなるよう、議論が無用に拡散をして放談会のようなものにならないよう、議論の進め方を真摯に検討していくことは極めて重要であると考えております。このような議論の進め方について、提出者である北側議員のお考えをお伺いしたいと思います。

国民投票運動中のCM規制、憲法論議と並行し議論すべき
7項目の国民投票法改正案、早期成立を

北側 大変大事な御指摘をいただいたと思います。CM規制の問題は、国民投票運動の自由、表現の自由と、国民投票の公平さ、公正さとのバランスをどう取るかという非常に重要な問題でございます。これには様々な論点がございます。また、憲法改正国民投票という国の最高法規に関わるものでありますから、できるだけ各政党間の幅広い合意を形成する必要があると思います。今後、是非とも当憲法審査会で丁寧な議論を行っていく必要があるというふうに思っております。
 それから、今や、CMというのは、テレビ、ラジオ広告よりもネット広告が凌駕する、そういう時代になっています。その傾向というのはこれからますます大きくなっていくだろうと認識をしております。したがって、現在の国民投票法に規定されているテレビ、ラジオ広告の規制というだけではなくて、インターネット広告等に関する議論も進めていく必要が当然あるわけでございまして、特に、現在はデジタル技術が急速に進展をしております、メディアそのものも多様化、複雑化していることを踏まえまして、しっかり議論を推し進めていく必要があると思います。私も、この審査会で同じような趣旨の発言をさせていただきました。このCM規制の問題は非常に重要な問題でございますので、論点を整理していくためにも、幹事会の下に特別の検討委員会を設けて論点整理をしていく、そういうことが重要であると申し上げましたが、新藤筆頭幹事の御提案というのは全く私と同じ考えでございまして、論点整理を行って、そして与野党が一つの方向性に向かって合意形成をしていくということは大変重要であるというふうに思っております。是非、幹事会等において、今後しっかりとこのCM規制の問題について協議をさせていただきたいというふうに思っております。
 ちなみに、CM規制も大変重要でございますが、当然のことながら、憲法本体の議論が重要でございます。そのためには、このCM規制の議論、さらには憲法本体の議論を進めていくためには、まず、この七項目案については早急な成立を是非させていただいて、その上で、憲法本体の議論、CM規制の議論を同時並行で是非行わせていただきたいというふうに考えております。

<意見表明>
「緊急事態における国会の機能維持」審査会で議論必要
北側 公明党の北側一雄です。今後、当憲法審査会で議論すべきテーマとして、簡単に二点、申し上げたいと思います。一つは、先ほど新藤筆頭理事からもお話がありましたが、緊急事態における国会の機能の維持です。新型コロナウイルス感染症が日本と世界各国で猛威を振るっております。国民の命と暮らしをどう守るのか、社会経済活動をどう持続していくのかが問われているわけでございます。また、我が国においては、東日本大震災や阪神・淡路大震災のような大災害も、いつ襲うかもしれません。国難とも言える危機時において、国会は、国権の最高機関、唯一の立法機関として、極めて重要な役割と責任を担っていかねばなりません。しかし、こうした国家の危機時に多くの国会議員が国会に参集することが困難になる場合を想定しておかなくてよいのでしょうか。
 感染症が全国で爆発的に蔓延し、極めて深刻な状況となった場合や、また、巨大地震の発生で甚大な被害が生じているときに、国会は、速やかに必要な法律と予算を成立させ、また、政府に対して迅速、適切な対策を求めていかねばなりません。憲法五十六条一項には、両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することはできないとあり、五十七条一項では、両議院の議事は、公開とするとございます。議会制民主主義の基礎となる憲法条項であります。だからこそ、国会議員の国会への参集が事実上著しく困難な状況と認められる場合には、この五十六条一項、五十七条一項をどう解釈するのか。そこで言う出席とは何か、議事の公開とは何か、国会として自律的に決めていかねばなりません。重要な憲法条項の解釈に関わることですから、当然のことながら、憲法審査会で主導的に議論をすべきではないでしょうか。
 さらに、例えば衆議院議員の任期満了直前、私たち、今の衆議院議員は二〇二一年十月二十一日が任期満了でございますが、こうした任期満了直前に感染症の著しい蔓延や巨大地震が発生した場合などには、国政選挙そのものの実施が相当期間、困難となることも想定されます。公職選挙法五十七条の繰延べ投票で選挙の期日を変更することはできますが、任期満了で、衆議院議員は全員その地位を失います。憲法四十五条で衆議院議員の任期は四年と明記をしているからでございます。国家の危機時に衆議院が全く機能しなくてよいのでしょうか。仮に、緊急事態において国会議員の任期の延長を可能とするには、法律の改正ではできません。憲法の改正が必要となってまいります。その是非について、この憲法審査会での議論が必要であります。

「デジタル技術が進展する中で民主主義、人権をどう保障していくか」もテーマに
 もう一つ、憲法審査会で論議すべきテーマとして、急速にデジタル技術が進展する中で、民主主義や人権という憲法価値をどう保障していくかという課題でございます。デジタルトランスフォーメーションの著しい進展とGAFAに代表されるプラットフォーム事業者の存在は、私たちの日常生活や経済活動、さらには個々人の内心の意思形成や決定過程にも大きな影響を与えています。我が国の社会経済の発展に向けて、デジタル化への環境整備は促進されなければなりませんし、避けて通ることができない課題です。
 一方で、その負の側面にも着目しなければなりません。特に、ネット社会における関心経済、アテンションエコノミーとも言われる特性によって、関心のある情報、それは往々にして偏った刺激的な情報の場合があると思われますが、それだけが広く情報拡散し、その結果、社会の分断を招くのではないかと危惧されています。まさしく国民投票法でのCM規制の在り方とも深く関連することでございますが、国民の知る権利を実質的に保障していくためには、多様な情報が国民に届くようにしなければなりません。フェイクニュース、偽情報、根拠なき誹謗中傷をどう排除し、抑制していくのか、また、大量の個人情報をどう保護していくのかなど、プラットフォーム事業者の責務は大きいと言わざるを得ません。もちろん、国家が直ちに規制することには慎重でなければなりませんが、適切なルールを定めていくことは必要と思われます。
 EUが昨年の十二月にデジタルサービス法案を発表いたしましたが、憲法審査会でも今後の議論の大いなる参考とすべきと考えます。七項目の国民投票法改正法案は、国民の投票の利便性を確保する、向上させる公職選挙法並びの改正で、審議も十二分に尽くされており、速やかに採決すべきです。そして、今申し上げましたような今日的な憲法に関するテーマについて憲法論議を積み重ねるのが私たち憲法審査会の責務であると申し上げまして、私の意見表明といたします。

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