平和安全法制によって現実に平和を構築してきた公明党

月刊「第三文明」9月号 インタビュー

北側一雄 公明党副代表/衆議院議員

平和安全法制の施行から五年。安全保障問題で公明党が果たしてきた役割とは。
憲法九条の下で自衛の措置の限界を明確にした
武力行使の新三要件

 二〇一五年九月に平和安全法制が成立。翌年三月に施行されてから五年が過ぎました。平和安全法制の制定で、日本の安全保障は格段に強化されています。近年、わが国周辺の安全保障環境が厳しさを増すなか、日本の平和と安全を確保するため、公明党が大きな役割を果たしました。

※平和安全法制=自衛隊法、国際平和協力法、重要影響事態安全確保法など10本の関連法改正と、新しく制定した国際平和支援法の合計11本からなる一連の法律。

 安全保障上、日本国民の生命と財産を守る根幹となるのは、日米防衛協力体制です。中国は軍事力を急速に増強し、南シナ海や東シナ海で海洋進出を進めています。
 また、北朝鮮は核実験やミサイル発射実験を繰り返しており、軍事技術が著しく向上していることも事実です。日米同盟を強化し、深化させていかなければ、日本国民の生命と財産を現実に守ることはできません。
 日米安全保障条約に基づき、日本各地の米軍基地では多くの米軍人が駐留し、自衛隊員と一緒にわが国を守っています。ところが、日本を守ってくれる米軍に対して、仮に何らかの攻撃があった場合に、自衛隊が、その攻撃を排除できるかどうかが法律上はっきりしていなかったのです。
 「自分たちは日本国民を守るために活動しているのに、米軍が攻撃を受けても、自衛隊は守ってくれないかもしれない」。米軍にこういう不信感があるようでは、日米防衛協力体制が強化されるわけがありません。
 こうした問題も含め、わが国の安全保障のあり方について、自民党と公明党は精力的に議論を積み重ねました。日本には戦争放棄を定めた憲法九条があります。公明党としては、この九条の枠内での自衛の措置はどこまで可能なのか、徹底的に議論し、突き詰めました。
 そして同年七月、武力の行使のための「新三要件」を定めた「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」が閣議決定されました。
①我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
②これを排除し、我が国の存立を 全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき
③必要最小限度の実力を行使以上の三要件を充たす場合には、わが国防衛のため活動している米軍への武力攻撃がなされたとき、自衛隊はこれを排除できると明文 化されたのです。ただし、もっぱら他国を防衛するための武力の行使は認められません。いわゆるフルスペックの集団的自衛権の行使には、憲法九条の改正が必要で、九条の下での自衛の措置の限界を明確にしました。
 この閣議決定に基づき、具体的に法案の内容を詰めました。従来の「専守防衛」という立場を堅持し、かつ日米防衛協力体制を強化することができたと考えています。
 トランプ前大統領は、「日本は米軍の安全保障にタダ乗りしている」「どうせ米軍を守ってくれないのだから、いっそ在日米軍基地にかかる駐留費用を全部出せ」などと不満を募らせていました。これはトランプ氏に限ったことではなく、アメリカの一部にはこうした意見があったのです。
 トランプ氏が大統領に就任する前に平和安全法制を整備していたおかげで、安倍晋三前首相は、アメリカの不満に対して堂々と反論できたのです。平和安全法制の制定によって日米同盟は強化され、日本の安全保障は大きく前進したと言えるでしょう。

「戦争法」ではなく「戦争抑止法」
 安全保障の議論というと、「戦時」の話を思い浮かべがちですが、大切なのは「平時」です。平時から自衛隊と米軍の間で綿密な連携が取れていなければ、いざというときに日本の平和を守れません。平和安全法制ができて以降、日米共同訓練の中身が深まりました。また、他国の軍隊にも「武器等防護」ができるようになりました。
 船や飛行機、車両など、自衛隊の装備が外部から侵害されたとき、これを防護するのは当然のことです。さらに、自衛隊法を改正し、自衛隊と行動をともにする他国軍の装備に外部から侵害がなされたときにも、自衛隊は「武器等防護」によってこれを排除できるようになりました。
 「武器等防護」が可能になって以降、米軍とだけでなくオーストラリアやインドが共同訓練に参加したり、最近ではフランスやイギリスなどヨーロッパの国々も訓練に参加しています。多国間で共同訓練を積極的に実施するようになったことも、平和安全法制成立以降の大きな変化です。
 北朝鮮でどんな動きがあるのか、アメリカは人工衛星等によって多くの軍事情報を得ています。日米の信頼関係が強化されたことによって、そうした情報が日米間で緊密に共有されるようになりました。日米、また多国間での積極的な共同訓練の実施や、軍事情報の緊密な共有によって、日米防衛協力体制が深化し、抑止力の強化につながっていることは明らかです。
 法制施行からの五年間にも、東アジアの安全保障環境はさらに厳しさを増しています。米中対立しかり、中国と台湾の対立しかりです。特に台湾の問題は、日本にとって対岸の火事ではありません。台湾とわが国の与那国島の距離は約一一〇キロしか離れていません。台湾海峡等での有事は、わが国の安全に直結しています。
 万が一にも台湾海峡で衝突など起きないよう、日本はよくよく注視し、外交的努力を尽くしていかなければいけません。
 平和安全法制を「戦争法」と揶揄する勢力がいますが、この主張が全く的外れであることは、この五年を見れば明らかです。日本は「戦争ができる国」になったどころか、戦争を防止し、平和を確保するための行動を重ねています。平和安全法制は「戦争抑止法」「戦争防止法」なのです。
 さらに言うならば、日本には東アジアの平和と安定を確保する責任があります。太平洋を隔てたアメリカから見れば、中国は遠い国ですが、日本にとっては引っ越しのできないすぐ隣の国です。米中関係と日中関係は歴史的、文化的にも背景が異なっています。日本は古くから中国と深い関係がありました。また公明党は、中国と国交正常化前から強いつながりを築いてきました。もちろん中国に対し言うべきことははっきりと言っていかなくてはなりません。最近のウイグルや香港での問題も懸念を表明せざるを得ません。
 いうまでもなく日本外交の基軸は日米同盟です。一方で日中の関係も極めて重要な二国間関係です。日本は米国と連携しつつも、米国にはできない外交的役割を果たしてゆかねばならない立場で、公明党もその役割の一端を担ってゆきたいと思います。

安全保障の機能を守る重要土地利用規制法
 今年六月一六日、国会で重要土地利用規制法が成立しました。この法律について「米軍基地周辺の住民を監視するのか」「思想・良心の自由を侵害するな」との反発がありますが、そのような意図で作った法律では全くありません。
 自衛隊や米軍の基地周辺に、例えばアンテナを立て、妨害電波を出すようなことが起きれば、日本の安全保障にとって深刻な脅威となります。日本人であろうが、どこの国の人であろうが、そのような行為を看過するわけにはいきません。安全保障上の観点で重要な土地の周辺は、国が一元化して利用状況を掌握する。そのための法律です。
 政府が地域住民の思想・信条にまで立ち入って調査するわけではありません。あくまでも基地や国境離島など、重要施設周辺の土地利用状況を調査することが目的です。そのうえで、仮に安全保障上の機能を阻害する動きがあったときには、勧告や命令と段階を踏んで規制を進めます。
 私権を侵害しないよう、公明党の強い要請で法律に次の文言を入れこみました。〈個人情報の保護に十分配慮しつつ〉〈必要な最小限度のものとなるようにしなければならない〉(第三条)。住民の私権を不当に制限することがないよう、法律に厳格に歯止めをかけました。
 公明党は国の専権事項である外交・安全保障の課題にも真正面から向き合っています。現実的に平和を構築していくことこそ、公明党の責務なのです。

きたがわ・かずお
一九五三年、大阪府生まれ。創価高校卒業。創価大学法学部を第一期生として卒業。八一年四月に弁護士登録。その後税理士にも登録。九〇年、三六歳の若さで衆議院議員に初当選し、現在当選九回(大阪一六区)。国土交通大臣・観光立国担当大臣(二〇〇四年九月〜〇六年九月)、公明党政務調査会長、同幹事長などを歴任。現在、公明党副代表・中央幹事会会長を務める。「安全保障法制整備に関する与党協議会」座長代理として、一五年九月の平和安全法制成立に尽力した。

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