国会機能の維持へ 任期延長議論を

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

国会の機能維持という観点から、緊急事態における議員の任期延長について早急に議論を

 3月17日の衆院憲法審査会で北側一雄副代表が意見表明しました。その発言(要旨)は次の通り。

 公明党の北側一雄でございます。ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略の開始から三週間が経過をいたしました。ロシアの行動は明らかなウクライナの主権侵害であり、武力の行使を禁じる国際法の、明白かつ深刻な国際法違反です。ウクライナで犠牲になった方々、平穏な日常を奪われた人々に関する連日の報道に接するたびに、ロシア・プーチン政権に対する強い憤りを禁じることができません。政府においては、国際社会と緊密に連携し、経済制裁も含め厳格な対応をするとともに、ウクライナ国民に対する力強い人道支援をしていかねばなりません。
 二〇一九年九月、今から二年半前になりますが、当衆議院憲法審査会の代表団は、憲法及び国民投票制度に関する実情調査のため、ウクライナを訪問いたしました。今日もこの会場にいらっしゃいます森会長、新藤幹事、奥野幹事、私も参加をさせていただきましたが、当時のウクライナ首相、最高会議、我が国の国会に当たりますが、この最高会議の議長、そして議員、憲法裁判所の裁判官、国立戦略研究所の識者らと精力的に意見交換をいたしました。
 ウクライナでは、この二〇一九年の二月に憲法の改正がなされ、四月にはゼレンスキー氏が大統領選挙で勝利し、新大統領に就任しておりました。また、二〇一四年には、ロシアによる一方的なクリミア併合、東部ドンバス地方での紛争が起こっており、私どもが訪問した当時もロシアとの厳しい緊張関係が続いておりました。
 こうした背景がある中、特にウクライナ憲法の緊急事態条項については、私どもの関心事項の一つでございました。
ウクライナ憲法には、緊急事態の態様として、戒厳の布告と非常事態の布告の二類型が規定をされております。
 戒厳については、ウクライナに対する攻撃のおそれがあり、国の独立に対する危機が生じたときは、法律の定めるところにより、軍隊の全部又は一部の出動及びウクライナの全部又は一部の地域における戒厳の布告を決定するとあります。
 非常事態については、必要があるときは、ウクライナの全部若しくは一部の地域における非常事態の布告を決定するとされております。
 共に布告の決定をするのは大統領で、戒厳若しくは非常事態の布告から二日以内に、最高会議、日本でいう国会による承認が必要となっています。そして、布告がなされた場合の効果として、人権の制限に関する規定が設けられております。
 ウクライナ憲法第六十四条では、第一項で、憲法上の人及び市民の権利及び自由は、この憲法で定める例外的な場合を除き、制約されないと規定した上で、第二項で、戒厳又は非常事態の布告が発せられている間は、期限を付して、権利及び自由に対する特別な制限をすることができる、ただし、このただしが私は大事だと思うんですけれども、法の下の平等など十八の人権保障規定についての権利及び自由は、制約してはならないというふうに規定がございます。緊急事態時でも制約してはならない人権規定を個別に憲法で明記していることに注目されます。
 また、戒厳若しくは非常事態の布告が発せられた場合に、議会機能の維持、まさしく今問題になっております国会機能の維持でございます、議会機能の維持と議員の任期延長に関する規定も設けられております。
 さらには、この間、憲法改正は禁止をされております。
 ロシアによるウクライナ侵略は、御承知のとおり二月の二十四日に開始されましたが、ウクライナ議会は、非常事態の布告を承認するための本会議をこの前日の二月二十三日に、また、戒厳の布告を承認するための本会議を当日の二月二十四日に速やかに開催し、大統領令を承認しております。 戒厳等の期間は、当初、一か月間の三月二十五日までとされていましたが、一昨日の三月十五日の本会議では、戒厳の三十日間延長の承認を行っております。
 ロシアによるウクライナ侵略後も、ウクライナ議会は随時開催されております。多くの必要な法律等も成立をさせ、厳然と議会機能、国会機能を維持しております。このような緊急事態であっても議会の役割を果たしていることに、深い敬意と感動を覚えます。
 また、戒厳期間中に限り、本会議にオンライン審議を導入するための議事規則改正案が今提出をされているようです。先日の当憲法審査会で取りまとめた報告書と軌を一にするものと考えます。
 私が今お話ししたウクライナ議会の動向は、同議会の公式ホームページから、日本語翻訳の機能を活用して得ることができる情報でございます。今、私、タブレットを持っておりますが、是非検索をしていただいて、日本語検索がついておりますので、毎日、日々情報が更新をされております。ちなみに、今日のホームページでは、ハーグの国際司法裁判所は、ロシアにウクライナへの侵略を直ちに停止するよう命じました、このようなトピックも上がっておりまして、是非、議員の皆様におかれましても検索をしていただいて、御覧をいただければと思います。
 さて、各国の憲法には、緊急事態条項が設けられている立法例が多くございます。それぞれ歴史的な背景や経緯があり、その内容も異なります。一方、どの国であれ、平時とは異なる国難ともいうべき緊急事態に直面することは想定をしておかなければなりません。
 昨夜も東北地方で震度六強の地震があり、大きな被害が発生していますが、巨大地震の発生や感染症の爆発的な蔓延、また、ウクライナが今まさしく直面している違法な武力侵略など、緊急時における危機管理法制は、法治国家、民主主義国家にとって不可欠な制度です。我が国でも、災害対策基本法、感染症法、武力攻撃事態等対処法など、数多くの危機管理法制が整備されています。緊急事態の類型、特性に応じて、制度の詳細な内容は法律や政令等のレベルで整備していくしかありません。
 しかしながら、緊急事態であっても、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会の機能は維持されなければなりません。また、いかなる緊急事態であっても、憲法上保障された国民の自由、権利の中には絶対に制約してはならないものがあります。これらはまさしく国の憲法秩序の基本に関わることで、こうした観点から、緊急事態条項について憲法改正の必要性も含めて論議することは極めて重要と考えます。
 国会の機能維持という観点から、緊急事態における国会議員の任期の延長というテーマについては、その論点、課題について早急に詰めた論議を進めるべきと考えますが、まずは、各国の憲法に規定された緊急事態条項の内容や我が国の危機管理法制の全体像等も確認しながら議論を進めることを提案いたします。以上、本日の意見表明といたします。

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