厳しさ増す安保環境 国民をどう守るか

公明新聞5月2日付2面 北側一雄副代表に聞く

厳しさ増す安保環境 国民をどう守るか

ロシアのウクライナ侵略が戦後の国際秩序を大きく揺るがすなど国際情勢が激変しています。日本の安全保障環境が厳しさを増す中、政府は国民の命と財産をどう守るのか。公明党の北側一雄副代表に聞きました。

日米同盟の抑止力が基軸
平和安全法制で信頼強固に

 日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなってきたが。
北側副代表 ロシアのウクライナ侵略によって「東アジアでも力による一方的な現状変更が起きるのではないか」と懸念する声が聞かれるようになりました。中国やロシアは日本周辺の海域で活動を活発化させ、北朝鮮は弾道ミサイル発射を繰り返し、その性能は着実に向上しています。わが国を取り巻く安全保障環境は一段と厳しくなっていると言わざるを得ません。

 日本政府は、国民をどう守るのか。
北側 日本の安全保障政策は、憲法9条を基にした専守防衛の下、日米同盟による防衛協力体制が基軸です。よって安保環境の変化に対応するには、日米同盟の信頼性向上による抑止力の強化が欠かせません。
 では、日本が専守防衛を堅持しながら、どこまでの「自衛の措置」を認めるのか。この点を限界まで突き詰めたのが2016年3月に施行された平和安全法制です。法案を巡っては、国論を二分するかのような大激論が起きましたが、制定の意義は大きく、今も重要な役割を果たしています。

 平和安全法制の重要な役割とは。
北側 平和安全法制を整備したことで平時から日米間の連携が強化され、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」から有事まで隙間のない対処が可能になりました。
 日本防衛のために活動する米軍が攻撃を受けた際も厳格な要件の下、専守防衛の範囲内で自衛隊が米軍を守ることができるようになり、日米同盟の信頼性は大きく向上しました。実際、平和安全法制が作られて以降、日米間の共同訓練が頻繁に行われ、情報共有も格段に進んでいます。現下の厳しさを増す安全保障環境を鑑みたとき、平和安全法制を整備したことの正しさが証明されていると思います。

日本の防衛力整備が必要
年内の政府文書改定へ議論

 日本の防衛力を強化する必要はないのか。
北側 当然、日本の防衛力を着実に整備していくことが必要です。その際、重要なことは「予算額ありき」ではなく、安保環境の厳しさが増す中、国民を守るには何をしなければならないのか。それを個別具体的に検討し、真に必要な予算を積み上げていくことです。
 政府は、おおむね10年先を見据えた外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」と「防衛計画の大綱」、5年間の防衛費の見積もりを示す「中期防衛力整備計画」の三つの文書を年内に改定する方針です。公明党は日本の防衛力強化に向け政府や自民党と議論を精力的に行う考えです。

 敵の弾道ミサイル発射前に、発射基地などを直接、破壊できる「反撃能力」を保有すべきとの意見については。
北側 この考え方は1956年に当時の鳩山一郎首相が、敵からのミサイル攻撃に対し「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだとはどうしても考えられない」と国会で答弁して以来、憲法上は許されると解釈されてきました。しかし、政府は、そのための装備を保有するには至っていません。ちなみに、これまで「敵基地攻撃能力」と称していましたが、それでは国際法で禁止されている先制攻撃と誤解されかねないと公明党が主張し、自民党は「反撃能力」と見直しました。
 年内の三つの文書改定に向けた議論では、あくまで専守防衛を大前提として、この考え方や内容についても議論をしていきたいと思っています。

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