緊急時こそ国会機能維持
5月3日に配信された時事通信社の北側一雄・党憲法調査会長インタビューは次の通り。
緊急時こそ国会機能維持
現行憲法の評価は。
北側 日本国憲法は非常に優れている。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則は時代が変わろうと堅持すべきだ。ただ、脱炭素や地球環境問題、急速なデジタル化など当初想定していないものもある。必要な改正はしなければならない。
今後の党内議論は。
北側 党内では当面、環境問題とデジタル化、緊急事態で詰めた議論を行う。
緊急事態の議論が国会の憲法審査会で活発だ。
北側 大いに評価していい。日本は災害が多く、新型コロナウイルス感染は3年目だ。ウクライナ情勢もあり、緊急時にどう国会機能を維持するか議論できている。最初の議論は「オンライン国会が憲法上可能か」だったが、これをまとめたのは非常に大きな成果だ。
国会議員の任期延長は。
北側 多くの党派共通の問題意識だ。東日本大震災で首長や地方議員の任期を延長したように、長期間、国政選挙ができない場合、厳格な要件が必要だが、任期延長は認め、憲法改正するしかない。
野党に異論も。
北側 論点は二つだ。一つは参院の緊急集会。この大前提は「いま衆院議員はいないが、近い選挙で新しい衆院が構成されること」。二院制が大原則なので、参院だけの議決でいいとはどこにも書いていない。法律も予算も首相指名も両院の議決だ。緊急集会はあくまで暫定的な措置だ。
また、東日本大震災では、被災3県で選挙ができなかった。3県だけ繰り延べ投票の場合、被災選挙区選出の議員がおらず、比例投票も確定できない。
議論の取りまとめ時期は。
北側 参院選後になると思うが、論点は出尽くしつつある。党として条項手前のものはつくりたい。
内閣の緊急政令の是非は。
北側 憲法に書いて済む話ではない。ウクライナでは、法律の成立状況など議会のホームページが毎日更新されている。ウクライナの議会が戦乱中も機能を果たしているのに、緊急時だから国会を吹っ飛ばして政令で決めていいという憲法規定には賛成できない。国会は唯一の立法機関、国権の最高機関だ。緊急時こそ役割を果たさなければいけない。
例えば、災害対策基本法はあらかじめ、緊急時に国民の権利や自由を政令で一定の制約ができる規定がある。個別法で詳細に規定を書くしかない。