施行75年の憲法を問う
施行75年の憲法を問う
非常時の国会議員の任期延長 必須
施行から75年が経過した現行憲法の評価は。
北側 「戦後日本の民主主義の発展に大きな役割を果たしてきた。高く評価したい。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原理はしっかりと守らなければならない」
衆院憲法審査会の現状をどう見ているか。
北側 「今国会中はほぼ毎週開かれ、中身のある議論ができている。緊急事態時の国会機能維持のため、オンライン国会について大方の合意形成ができたのは大きな成果だ」
現行憲法に足りない部分は。
北側 「緊急事態条項だ。いろいろな論点がある中、多くの党派が必要性を認め始めたのが国会議員の任期延長で、憲法を改正しなければできない」
自民党は法律に代わる内閣の緊急政令制定の重要性も提唱する。
北側 「自民は党憲法改正案に『国会による法律の制定を待ついとまがない』時と書いている。だがロシアの侵攻を受けるウクライナでさえ議会が機能し、法律を逐一改正している。緊急事態だから、後は内閣に任せておけというのは違うと思う」
安全保障の議論を憲法審で始めるべきだとの声が自民から出ている。
北側 「議論は行うべきだ。自衛隊は憲法違反だと言う人がいるから、9条に明記したいとの主張だが、違憲だと思っている国民は極めて少ない。立法事実が弱いのではないか。むしろ、最大の実力組織である自衛隊を民主的にどう統制するかといった議論の方が大事だ。憲法審で扱う優先順位が低いとは思わない」
参院選の合区解消も自民改憲案の一つだ。
北側 「憲法は国会議員を『全国民を代表する』と定める。だから1票の価値の平等が求められる。地方の意見反映のため、参院議員を地域代表に変えるなら、参院の役割や権能も現在とは異なるはずだ。例えば地域代表が首相を指名できるのかといった課題も出てくる。さまざまな改憲が必要になる。簡単な話ではない」
改憲の是非を問う国民投票時の広告規制は。
北側 「表現の自由は尊重すべきで、テレビ・ラジオCMへの過度な法規制はいかがなものか。必要なら政党間で自主規制の合意を結べばいい」
きたがわ・かずお 1953年生まれ。公明党副代表、元幹事長。衆院大阪16区。当選10回。