わが国の安全保障政策

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

憲法九条のもとで、どこまで自衛の措置が可能か
限界まで突き詰めたのが平和安全法制

5月12日の衆院憲法審査会で北側一雄副代表が発言しました。その要旨は次の通り。

 公明党の北側でございます。
 今日は、石破委員から憲法九条について、そして野田委員から第一章、天皇制についての御所見を賜りまして、非常に、ああ、そういうふうにお考えになられているんだなということが改めてよく分かりました。それぞれの御意見についての私の所感については、また改めて述べたいと思います。
 今、野田先生からの御質問というのは、宍戸先生等の参考人を呼んだらどうなのかということですよね。これは是非、大事な大事なテーマでございますから、当然、有識者の意見を聞いていくということは意味のあることだと私は理解をしております。
 今日は、冒頭、新藤幹事から安全保障についての御議論がございました。それで、ちょっと私も頭の中を整理してお話をしたいと思うんですけれども、今、我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増している、ますます厳しさを増している、こういう認識については、恐らく多くの皆さんが共通の理解をしていらっしゃるんだと思うんですね。この厳しさを増す安全保障環境の中で、我が国がどう安全保障政策を取っていくのかというのは喫緊の課題であるということは、私も全くそのとおりだと認識をしております。
 日本の安全保障政策というのは、これは言うまでもございませんけれども、憲法九条を基にした専守防衛の下、日米同盟による防衛協力体制が基軸でございます。私は、日米同盟、日米防衛協力体制、これをいかに信頼性を高めていくのか、その持つ抑止力というものをどれだけ強化していけるのか、ここが最大のポイントであるというふうに思っております。安全保障環境の変化に対応するには、今申し述べたとおり、日米同盟の信頼性向上による抑止力の強化が不可欠。
 では、これまでそのことについてどういう議論をしてきたかを振り返りますと、私は、やはり六年前に施行された平和安全法制、あの平和安全法制は六年前に施行されましたけれども、約三年かけて、国会で、また政府・与党の中で、本当に綿密な議論を私はさせていただいたと思っています。その一番のポイントは、日本が専守防衛を堅持しながら、要するに、九条の下でどこまでの自衛の措置を認めるのか、この点を限界まで突き詰めたのが私は平和安全法制であったというふうに理解をしております。
 先ほど玉木委員の方から、九条の規範力が限界に来たとおっしゃったけれども、私には理解できません。あのときの議論で、まさしく九条の下でどこまで自衛の措置ができるんだということを徹底して議論をさせていただいたわけでございまして、是非、そのときの議論をもう一度、玉木先生におかれましては認識をしていただきたい。
 特に、八年前の二〇一四年七月一日に閣議決定をしました。あの閣議決定に基づいて平和安全法制の整備を進めたんですね。あのときの七月一日の閣議決定を作るに至るまでは相当な議論を積み重ねて、憲法九条の下でどこまで自衛の措置が可能なのかということを突き詰めて議論した結果があそこに書いてあります。決して九条の規範力がなくなったわけじゃありません。九条の下でどこまで自衛の措置が可能なのかという議論をした結果があの平和安全法制であったと私は理解をしております。
 この憲法審査会でも、船田先生もいらっしゃいますけれども、あのとき、平和安全法制の論議の際に、この憲法審査会でも何度も議論がなされました、憲法との関係について。当然、両論あります。国論もある意味二分をするような、そうした大激論があったわけでございますけれども、私は、振り返ってみますと、あのときの平和安全法制の意義というのは非常に大きく、大きな意義があった、かつ、今まさしく安全保障環境が厳しさを増している中で、その重要性というのはますます生じているというふうに理解をしているところでございます。
 平和安全法制を整備したことで、平時から日米間の連携が強化されました。武力攻撃に至らないグレーゾーン事態から有事までの隙間のない対処が可能になりました。日本防衛のために活動する米軍が攻撃を受けた際も、一定の要件の下で、専守防衛の範囲内で自衛隊が米軍を守ることができるようになりました。それがあって初めて日米同盟の信頼性は向上したわけでございます。実際、あの法制ができて以来、日米間の共同訓練というのは頻繁に行われております。情報共有も、米軍からの情報提供も円滑になされるようになりました。情報共有も格段に進んでおります。現下の厳しさを増す安全保障環境を鑑みたときに、あの平和安全法制を整備しておいて本当によかったと私は改めて強調したいと思います。
 政府は、この年末に向けまして、国家安全保障戦略ほか三文書の改定をしていくということでございます。私たちも、日本の防衛力の強化に向けてしっかりと議論を進めさせていただきたいということを今考えているところでございまして、党内でもしっかり今勉強を進めているところでございます。是非、そういうことも御理解の上で、この九条の問題についても御議論をお願いしたいと思います。以上です。

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