「国民審査」違憲判決 憲法審で意見とりまとめを

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

裁判官の国民審査で最高裁大法廷が違憲判決
憲法審として意見とりまとめ政府に申入れを

5月26日の衆院憲法審査会で北側一雄副代表が発言しました。その要旨は次の通り。

 公明党の北側一雄です。簡単に二点お話をさせてください。
 まず第一点目は、昨日、五月二十五日、最高裁判所の大法廷が、最高裁判所裁判官の国民審査について、国民審査法が在外国民について審査権の行使を全く認めていないのは憲法に違反するとして、違憲判決を下しました。最高裁大法廷が違憲判決を下すのは戦後十一回目、極めてまれな話でございます。
 私は、国会としても、また当憲法審査会においても、最高裁から、それも全会一致だと聞いているんですけれども、違憲判決が下されたということについて、やはり受け止めないといけないというふうに思っております。
 憲法上、在外国民にも審査権を行使する機会が保障されているにもかかわらず、国会は在外審査制度の創設の立法措置を取らなかったと、立法不作為を理由にして憲法違反だと最高裁は言っております。そもそも、国民審査を受ける最高裁判所裁判官自らが全会一致でこのような違憲判決を下しているわけでございまして、私は、国会としてこれを重く受け止め、速やかに立法措置を検討し実施をしていかねばならない、当然のことだというふうに思います。
 憲法の七十九条には、七十九条の二項でございますけれども、「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様」、三項で「投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。」このように規定をされておりまして、かつ、最高裁も言っておるんですけれども、憲法の第十五条で、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」。
 要するに、この国民審査制度というのは、国民が司法を直接コントロールできる唯一の手段なんですね。この国民審査制度というものを、ある意味、国会である立法機関が、これは行政もそうですけれども、ないがしろにしてきたのではないかというふうに、私は厳しい批判を受けているんだというふうに思っております。
 そういう意味で、このような大法廷判決が出ましたので、是非、政府、特に総務省なんでしょうか、速やかな制度設計、どのように在外審査の方法をするのか、その検討を速やかにやってもらいたいと思いますし、また、国民投票制度というのは、我々もそう感じていたんですが、実際、国民の皆さんから御覧になって、どうやって判断したらいいのと。判断する参考になるような資料、材料というのはないわけですよね。
 それをやはりしっかりと政府が、さらには、私は最高裁判所にも御協力をいただいて、国民審査が実効的なものになるように、国民の皆さんが判断できるように、その裁判官の経歴また様々な判決についてのその裁判官の主張、そうしたものが国民に分かるようなことをやはり示していかないと、これは結局制度としては形骸化していくと思うんですね。
 是非そういう検討をしていただきたいと思いますし、是非、憲法審査会としても、最高裁大法廷判決で違憲判決が出たわけですから、私は、憲法審査会として何らかの意見を取りまとめて政府の側に何か申入れをするだとか、そういうことだってあってもしかるべきだと思います。
 もう一点お話ししたいのは、合区解消の件でございます。
 今日、新藤議員から冒頭ありました合区解消の件でございますけれども、まず、憲法の中の統治機構、「国会」の中で、国会というのがどういう位置づけをされているのかということを見たときに、まず、憲法第四十三条で、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」とございます。全国民の代表が、国会、両議院の議員なわけです。衆議院議員も、参議院議員も、全国民を代表する議員でございます。
 それを踏まえた上で、日本のこの国会の規定で、衆議院と参議院というのはほぼ同一の権限が与えられています。全ての議事というのは、衆議院と参議院で、両議院で可決をして初めて成立するというのが大原則になっています。法律もそう、予算もそう、内閣総理大臣の指名もそう、さらには条約の承認もそう。さらには、憲法改正の国民投票、憲法改正の発議も、衆議院だけでできないんですね。衆議院と参議院、それぞれの、両議院の議決があって初めて発議もできるということでございまして、衆議院、参議院というのは、国民の代表機関として、そしてほぼ同一の権限、権能を持って、そして国会としての重要な役割を果たしている、こういう位置づけがなされているわけです。
 とすると、選挙の際の一票の価値の問題なんですけれども、この一票の価値の問題というのは、全国民の代表と位置づけられている以上、そして、衆議院も参議院も、両議院が同じような強い権限を持っているということを前提にいたしますと、やはり一票の価値というのは平等でなければいけない。その平等というのは、最高裁が言っているように、基本的には二倍以内に一票の価値が収まるようにしていかないと、やはり全国民の代表と言えないのではないかということだと私は理解をしております。
 もちろん、おっしゃっているような地域の特性、様々な事情、それを勘案していくのは重要だと思います。ただ、それを勘案するとしても、やはり、この二倍以内の範囲の中で地域の様々な事情や特性等々を考慮していくというのが恐らく最高裁の考え方なのではないかというふうにこれまで理解をしておりました。
 是非、この一票の価値の問題も、国民主権、民主主義にとって非常に大事な大事なテーマでございますので、これからもしっかりと議論をさせていただきたいと思います。以上です。

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