論点直言 「日本の有事」備えは

6月5日付産経新聞6面 北側一雄副代表インタビュー

役割分担「盾」だけでいいのか、が問われている

 わが国をめぐる安全保障環境は、ロシアによるウクライナ侵攻前から厳しい状況が続いてきたが、さらに緊張が高まっている。
 日本にとって安全保障上の脅威となる北朝鮮、中国は、ウクライナを侵略した核保有国・ロシアに対する国際社会の対応を注視している。今回のウクライナ侵攻に関し、北大西洋条約機構(NATO)も米国も武力を使った直接の反撃には出ていない。
 北朝鮮は自国を守るには、核保有が重要だとの考え方に傾いているかもしれない。中国は自らが力による現状変更を行った場合、国際社会がどう対応するのかを冷静に分析しているのではないか。
 だからこそ、国際社会は一致結束して、力による一方的な現状変更を行った場合、取り返しのつかない代償を払うことになるという現実を突きつけなければならない。
 政府は国家安全保障戦略(NSS)など3文書を年末までに改定する。安全保障環境が厳しさを増す中、非常に良い時期だと考えている。厳しい安全保障環境に対応するためには、防衛力を強化しなければならない。その際、重要なのは今、日本の防衛に何が不足し、何が必要かを明らかにすることだ。防衛費の増額が必要だとしても、国民に説明責任を果たし、理解を得るのは当然であり大前提だ。
 日本の防衛上の根幹は日米同盟だ。これまで日米の防衛協力体制の中で、日本は自衛隊は『盾』、米軍は『矛』という役割分担だったが、この基本は変えないまでも、日本は本当に『盾』だけでいいのかが、問われている。
 実際、ミサイル発射能力は格段に進歩しており、現在のミサイル防衛システムで完全に防御できるのか。日米連携の下で、あくまでもわが国の自衛権の行使として、相手方のミサイル基地などを攻撃する能力を保有すべきかどうか。いわゆる『反撃能力』の問題だ。また、現在の状況下では、米国が核と通常戦力で日本防衛に関与する拡大抑止は必要と言わざるを得ない。
 公明党としては年末の3文書改定に向けて、政府、自民党としっかりと議論していきたい。今、日本の安全保障、防衛政策をまさしくアップデートしていかなければならないタイミングだ。
(聞き手 千田恒弥)

 【プロフィル】北側一雄
 きたがわ・かずお 昭和28年、大阪府出身。創価大法卒、弁護士。平成2年衆院議員初当選、16年国土交通相、18年党幹事長、21年から党副代表。集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法では与党協議を主導した。現在は衆院憲法審査会幹事も務める。69歳。

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