緊急事態における議員の任期延長問題

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

緊急事態における議員の任期延長問題
できるだけ早く論点整理して集約を

11月17日の衆院憲法審査会で北側一雄副代表が発言しました。その要旨は次の通り。

 公明党の北側一雄です。きょうも、緊急事態における議員任期の延長問題について、多くの会派の委員の方々が、その必要性について方向性がかなり共有されているなということを実感いたしております。さきの通常国会、そしてこの臨時国会で、この緊急事態条項については相当議論もなされ、具体的な論点についてもほぼ出尽くしているというふうに思います。
 私自身も、通常国会で、三月二十四日そして四月七日にかなり詳しく意見を表明させていただきましたが、これまでのこの憲法審査会での各委員の意見を踏まえまして、改めて、衆議院法制局において論点整理を是非していただきたいということをお願いしたいと思います。
 ウクライナの最高議会、国会の話は、もう何度もさせていただいているのですが、ロシアによるウクライナ侵略があったのは二月二十四日です。もう八カ月以上たっているわけでございますが、ウクライナの国会は今も厳然と機能をしております。
 戦争勃発によりまして、ウクライナでは戒厳令、非常事態が宣告をされ、平時においては保障されている様々な国民の権利や自由が、戦争という緊急事態によりまして、それに関する法令が適用できない、さらには修正を余儀なくされているということは想像に難くございません。
 そうした状況下でもウクライナの議会は、私も時たま見ているんですが、公式ホームページを見ますと、必要な予算、法律、決議、また外交団との折衝、そうしたことをしっかりやられておられまして、立法機関としての役割を果たしておられます。
 大事なことは、このような緊急時であっても、また緊急時であるからこそ、国会機能をしっかり維持をする、その役割をしっかり果たしていくということが私は大事なんだと思います。
 先ほど維新の委員の方から、緊急事態条項について、特に議員任期の延長について、司法の関与についてどう考えるかという御質問がございました。
 緊急事態の認定なんですけれども、私は二つの要件が必要であると思っております。一つは、巨大地震などの大規模な自然災害等々緊急事態が発生したこと、この緊急事態が発生したことと、もう一つ大事な要件があって、それは、国政選挙の適正な実施が長期間明らかに困難だ、客観的にそれが認められる、この二つの要件が必要なんだと思います。緊急事態と言われるものが発生しても、適正な選挙の実施が可能であるならば、こういう議員任期の延長の問題は必要ないわけですから、そういう意味では、この二つの要件、緊急事態の発生と、そして、それによって国政選挙の適正な実施が長期間困難というふうな事態、この二つの要件が必要だと思うんです。
 そうしますと、こうした事態認定をするにあたって、事実関係、全国の緊急事態という認定のための様々な事実関係、選挙の実施が困難という様々な事実関係、これの資料、材料を持っているのは誰かといったら、これはやはり内閣でございまして、内閣が各省庁から様々な情報を集めて集約をしてこのような事態認定をしていくことになるわけでございまして、判断権者は内閣。そして、司法の関与といっても、このような詳細な事実関係について材料がない限り、司法だって判断できないわけでございまして、司法の関与を求めるというのは、私はどうなのかなというふうに思っております。
 ただし、先ほど来、出ておりますとおり、国会の関与は必要だ。国会の関与も、通常の過半数ではなくて、出席議員の三分の二以上の特別多数を要する、このような要件を添付することによって適正性というものを担保していくということなのかなというふうに理解しております。
 最後に、今日、新藤委員からも御指摘があった、緊急政令、緊急財政処分。これは、これまでも私は述べておるんですけれども、やはり、憲法四十一条で、国会というのは唯一の立法機関、国権の最高機関というふうに憲法上位置づけられております。その国会が、緊急事態だからといって、憲法に白紙委任的な緊急政令制度を設けることは、私は、国の唯一の立法機関としての国会の責任を放棄することにつながってくるのではないかというふうに思っているんです。
 もちろん、想定外の事態というのは当然起こり得ます。しかし、それは危機管理法制の中でしっかりと今も政令委任事項を設けられて、このような場合には政令に委任しますよ、この事項について政令に委任しますということを、様々な危機管理法制で書いてあるんですね。そこで不足があるならば、それを充実していくということではないか。憲法で白紙委任的な緊急政令制度を設けることについては慎重であるべきだと私は考えております。
 同様に、緊急財政処分。この緊急財政処分も、憲法の八十三条以下に財政民主主義について様々書いているんですね。国家の財政については国会が全て議決をしていくんだ、税金についても国会が法律で定めていくんだというふうにしているわけでございまして、この財政民主主義という観点から、やはり緊急時といっても、緊急財政処分を認めていくというのはなかなか問題があるのではないかと思っております。そのためにまさしく予備費というのが憲法上も規定をされているわけでございまして、ここは予備費の活用で内閣が財政処分できるようにしていくことなのかなというふうに理解しています。
 いずれにしましても、緊急事態における議員任期の延長の問題については、相当議論が出尽くしていると思いますので、是非集約をしていくように、その前提として、衆議院法制局に論点整理をできるだけ早くしていただきたいとお願いを申し上げて、私の意見とさせていただきます。

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