緊急時 議員任期延長を

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

緊急時 議員任期延長を
長期間、選挙実施が困難なら

12月1日の衆院憲法審査会で、緊急時の国会議員の任期延長について衆院法制局が各会派の見解をまとめた論点整理を報告したあと、北側一雄副代表が発言しました。その要旨は次の通り。

 公明党の北側一雄です。
 まず、衆議院法制局の皆さん、この論点整理、ありがとうございました。これまでの緊急事態に関する幅広い論議について的確に整理をしていただきました。ありがとうございます。
 今回の緊急事態における国会議員の任期延長、また緊急事態条項というのは、何のためにそういう議論をしているかというと、これも改めて確認をしたいと思いますが、どんな緊急時においても、それが国民の生命そして自由、財産等に危機を招来するような、そのような緊急な事態が起こっても、国会の機能をきちんと維持をしている、国会の役割をきちんと果たしているということが一番のポイント、趣旨であるというふうに思っております。
 何度も申し上げますが、ウクライナでは戦争が始まりましてもう八か月以上たちました。しかし、二月の二十四日から今まで、ウクライナの最高会議はその役割を、機能をきちんと果たしております。あのような究極の、ある意味、緊急時においても議会の役割というものをきちんと果たしているわけでございます。
 私は一度、ウクライナの最高会議、議会が、この間、どんな役割、機能を果たしてきたのか、また、その機能を果たすためにどのようなことについて、仕組みも含めまして、制度を取っているのか、こうしたことについても、本当に身近な実例があるわけでございますので、しっかり検証をする機会をつくった方がいいなというふうに思っております。
 その上で、この緊急事態における国会議員の任期延長問題を中心に、改めて意見を述べたいと思います。
 緊急事態における議員任期延長について、その必要性は、先ほど来お話がありますとおり、五会派では基本的な認識は一致をしております。その要件、効果等の制度設計の各論点についても、これから述べますとおり、五会派では共通するところがかなり多いと思います。ただ、意見が異なるところもございまして、更に論議を重ねてまいりたいと思います。
 まず、緊急集会、参議院の緊急集会の位置づけでございますが、これは二院制の例外として、衆議院の解散から最大七十日間、立場によりましては任期満了から最大七十日間の暫定的な制度であることは、五会派でも認識が一致をしていると思います。ただし、緊急集会というのは、憲法で定められた参議院の重要な権能でございまして、我々衆議院側で精力的に議論をしておりますが、参議院側の理解を得ていくということも非常に大事だということをつけ加えておきたいと思います。
 次に、この議員任期延長の要件でございますが、この議員任期延長の実体的要件としては二つ、第一に、緊急事態が起こったこと、この緊急事態の範囲をどう考えるか、第二に、緊急事態の発生により広範な地域で国政選挙の適正な実施が長期間困難という、この二つの要件が必要であることについて、これも五会派で認識は一致をしていると思います。
 広範な地域で国政選挙の適正な実施が長期間困難、これが選挙実施困難事態というふうに私は言えるかと思うんですけれども、ここが非常に大事なポイントであると思っております。緊急事態の発生、これによって選挙の実施が困難であることを判断するのは内閣であること、ただし、国会の事前承認が求められ、かつ出席議員の三分の二以上の特別多数が必要というのも五会派でほぼ一致をしているのかなと理解をしております。
 次に、司法の関与の問題です。裁判所が関与すべきとの意見もありますが、さきのような実体要件の充足の有無を、こうした事態ですから迅速に判断しなければなりません。裁判所が果たして迅速に判断できるのかということは、やや疑問と言わざるを得ません。
 緊急事態においても、議会制民主主義を貫徹するという趣旨からは、両議院で特別多数での事前承認を要するとすることで足りるのではないか。
 また、任期延長期間の上限を、これから述べますが、設けることで濫用防止も図られるのではないかと考えております。
 この議員任期の延長期間でございますが、この上限を決めるという点では五会派で共通しておりますが、その制度設計についてはやや違いがありまして、更に詳細な検討が必要と考えます。
 以下、私の意見を申し上げたいと思いますが、国政選挙の適正な実施が少なくとも七十日を超えて、任期が終了してから七十日を超えて困難であることが明らかとまず言えなければならないと思います。七十日以内であれば参議院の緊急集会で対応できるということは、これは憲法上規定があるわけでございますので、七十日を超えて困難だということが一つ要件になるかと思います。
 内閣は、緊急事態が発生して、その状況に応じて選挙実施困難期間というものを想定します。そして、その選挙実施困難期間を想定した上で、延期される国政選挙の期日を具体的に決定することになります。例えば、今緊急事態が発生した、その状況から、例えば三か月、これはもう選挙実施は明らかに困難というふうな、こういうことを認定して、延期される国政選挙の期日を具体的に決定する、こういうことになります。
 選挙期日の延期期間は、本来の議員任期が終了しているということ、また、東日本大震災時の地方選挙延期期間の実情を考慮しますと、最大六か月程度とすべきではないかと考えます。
 選挙期日の延期期間が、これはそのまま議員任期の延長期間となります。したがって、選挙期日の延期期間、すなわち議員任期の延長期間についても、国会の事前の承認事項となると考えます。
 また、想定した選挙実施困難期間が到来しても選挙実施が引き続き困難な状況のときには、国会の特別多数による承認を得て選挙期日を再延期し、その間、議員任期も再延長されるというふうな構成になるかと思います。
 衆議院解散後、総選挙前に選挙の実施が困難となった場合、どう取り扱っていくのか。非常に難しい問題でありますけれども、以前にも申し上げましたが、衆議院の解散は、衆議院議員の任期を終了させるという効果と、解散から四十日以内に総選挙を実施するということ、この二つの効果がありまして、これが不可分な関係であるというふうに考えます。
 総選挙を実施することが明らかに困難と認められるときは、衆議院解散の意義は失われて、解散権を行使した内閣自らの事態認定により、解散は効力を失い、衆議院議員の身分は回復すると考えた方がいいのではないかと思います。当然、これは重大な事柄でありますので、憲法明文で規定すべき事項と言えると思います。
 その他、事態認定効果として、国会の自動召集、閉会禁止、衆議院解散禁止、内閣不信任決議案の議決禁止、憲法改正の禁止について、これも五会派の意見はほぼ共通をしているかと思います。
 以上、憲法改正に向けての制度設計の内容について、私の考えを述べました。更に議論を深めまして、できるだけ多くの会派による合意形成を図ってまいりたいと思います。以上です。

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