国民投票法改正案、速やかに成立を

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

国民投票、情報を正確に
広告の自主規制ルール必要

 公明党の北側一雄です。まず、国民投票法についてです。
 国民投票法とCM規制については、今月二日の審査会で私どもの基本的な立場を述べました。本日は、今後、憲法改正国民投票制度について、法改正を含め取り組むべき課題について、改めて申し述べます。
 第一に、投票環境の向上のため、昨年四月に本審査会に付託されています三項目の国民投票法改正案は、公職選挙法並びの改正で速やかに成立を図るべきです。今後とも、公職選挙法と併せて、投票環境の向上、有権者の利便性向上に努めていかねばなりません。
 第二に、国民投票運動等に係るテレビ等の放送広告やネット広告について、事業者団体や放送事業者は、自主規制、自主的に定めるルールの策定を進めておられます。この内容を更に充実するため、事業者団体と私ども憲法審査会の幹事会等との意見交換を重ねていくべきと考えます。事業者団体で一定のルールが決められたにもかかわらず、それを遵守しない広告は、国民から見て情報の信頼性を欠くと見られるようにしていかねばなりません。
 第三に、新聞等の活字媒体、テレビ等の放送メディア、インターネットを通じた有料CMについて、広告主である政党が、広告の量や時期等についての自主規制ルールを早急に検討すべきです。
 第四に、国民へ正確な情報を提供するためには、インターネットの活用も含め、広報活動全般について、国民投票広報協議会の役割は極めて重要です。広報機能等を充実するため、両議院議長が協議して定める広報協議会規程の策定を早急に検討してまいりたいと思います。
 なお、先週の審査会で、改正国民投票法附則四条の検討事項に関連して、国民投票法が改正され、公平公正が確保されない限り、憲法改正発議はできないという意見がありました。先ほど、新藤幹事から、るるあったとおりでございます。
 この附則四条の検討条項は、憲法本体の議論や憲法改正の発議を妨げるものでないことは、これまで審査会で確認されている事項です。令和三年六月九日の参議院憲法審査会で、法案の共同提出者である立憲民主党の山花郁夫議員は、この検討条項の下でも憲法本体の議論や憲法改正の発議が条文上可能であるということについては、原案提出者である中谷議員、また私、北側議員と共通の認識でございまして、異論はございませんと答弁をしておられます。
 次に、緊急事態の発生と国会議員の任期延長問題について述べます。
 昨年来の憲法審査会の討議を通じまして、各論点について相当に整理されており、五会派間で一致するところが多々あると思います。以下、憲法改正条項案の表現ぶりも念頭に、先週、私への御質問もございましたので、私の意見を述べたいと思います。
 まず、選挙困難事態の認定の要件です。
 第一に、地震等による大規模な自然災害など緊急事態の発生により、選挙の一体性が害されるほど広範な地域において、国政選挙の適正な実施が七十日間を超えて困難であることが明らかであると認められるときは、内閣は、選挙困難事態の認定を行うというふうにします。七十日間を超えてとしたのは、その間は参議院の緊急集会の開催が可能であるからです。
 第二に、内閣は、直ちに国会の承認を求めなければならない。この国会の承認には、各議院の出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とするといたします。国会承認の議決要件については、三分の二の特別多数が妥当と考えます。憲法四十五条、四十六条で定められた国会議員の任期の例外となるもので、厳格な要件が必要と考えます。
 次に、選挙困難事態の認定の効果です。
 第一に、内閣は、速やかに、事態認定の日から最大六か月以内の日に選挙期日を延期します。憲法で定められた議員の任期が終了しているのですから、できるだけ早く国政選挙を実施すべきこと、また、東日本大震災時の地方選挙の選挙期日に係る延期期間を考慮すると、最大六か月以内とするのが適切と考えます。
 第二に、選挙困難事態の認定について、国会の承認があったときは、延期された選挙期日の前日まで議員の任期を延長します。東日本大震災時の選挙期日延期等の特例法と同じ構成としております。
 さらに、議員任期の再延長についてです。
 延期後の選挙期日の前に、内閣は、選挙困難事態の再認定をする場合は、直ちに国会の承認を得なければならない。そして、内閣は、再認定の日から最大六か月以内の日に選挙期日を再延期し、同様に延期された選挙期日の前日まで議員の任期の延長をするというふうにします。
 国会承認の議決要件は、同様に、三分の二の特別多数とします。また、選挙期日の延期は、同一の事態で、最初の選挙困難事態の認定から通算して一年を超えることはできないとしてはどうかと考えております。これにより、一年以上の議員の任期延長を制限することにつながってまいります。
 議員任期の再延長について、司法を関与させるべきとの意見もあります。貴重な御意見だと思いますが、選挙困難事態の認定は、被災状況、復旧状況等の事情を総合的に判断して、国政選挙を適正に実施できるのかという判断であること、また緊急を要することからすると、司法の関与には、なかなかなじまないのではないかと考えます。
 なお、憲法裁判所については、別の大きな憲法上の課題で多くの論点があります。いずれにしても、直ちにその創設ができるものではないと思われます。
 また、衆議院解散後に緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となった場合に、衆議院議員の身分が復活するのかという問題があります。
 衆議院の解散は、衆議院議員の任期を終了すること、そして解散から四十日以内に総選挙を実施することという不可分な二つの効果をもたらします。
 総選挙を実施することが明らかに困難と認められるときは、衆議院解散の意義は失われ、解散権を行使した内閣自らの選挙困難事態の認定により、解散は効力を失い、衆議院議員の身分は回復すると考えられます。当然のことながら、憲法明文で規定すべき事項と思います。以上、私の意見表明といたします。

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