議員任期延長 できる限り幅広い合意形成を

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

緊急事態における議員任期の延長
幅広い合意形成へ議論深めたい

 公明党の北側一雄です。
 緊急事態における議員任期の延長等の論点について、これまでの各会派の意見に基づき、衆議院法制局、審査会事務局において簡潔かつ的確に論点整理をしていただきました。橘法制局長をはじめ、事務局の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
 衆議院憲法審査会では、昨年一年間で二十回、今年の通常国会で本日も含め十五回、この一年半で計三十五回の実質討議を行ってまいりました。委員の皆様の活発な憲法論議に敬意を申し上げたいと思います。
 この三十五回の討議の中で、緊急事態条項について委員から意見表明された審査会の回数は、三十五回のうち計二十八回に及びます。論点は既に出尽くしていると思われます。
 衆議院法制局の論点整理にあるとおり、自民、公明、維新、国民、有志の五会派の間では、参議院の緊急集会の意義と適用範囲、それを踏まえた上での緊急事態における議員任期延長の必要性についてはおおむね一致しています。議員任期延長の要件と効果について、現時点で若干の相違点はあるものの、後で述べますように、五会派間での具体的な合意形成は十分に可能と考えられます。
 以下、緊急事態における議員任期の延長に絞って意見を述べます。
 参議院の緊急集会は、衆議院不在時の参議院の重要な憲法上の権能であることは言うまでもありません。一方で、憲法第四章で定める国会の二院制、両院同時活動の原則の例外であることも明らかです。したがって、参議院の緊急集会では、内閣総理大臣の指名、条約の承認、内閣不信任案の提出、決議等ができないなど、権限が限定されると解されることは学説上もほぼ争いがないところです。衆議院解散後もしくは任期満了後、衆議院総選挙をできる限り早く実施すべきは当然のことです。
 問題は、巨大地震の発生等により広範な地域で甚大な被害が生じ、長期間、国政選挙の適正な実施が明らかに困難と認められる場合、すなわち、衆議院の不在が長期にわたることが明らかな場合に、参議院の緊急集会のみで国会の機能を長期間担うことを憲法が想定しているのかということです。
 繰り返しますが、参議院の緊急集会は、参議院の重要な憲法上の権能です。しかし、統治機構の基本原理である国会の二院制、両院同時活動の原則からはその適用範囲に限界があると言わざるを得ません。現行憲法に規定がないのだから参議院の緊急集会を活用するしかないのではないかとの考え方は、立法機能を担う議会人の姿勢としてはやや悪手なのではないかと考えます。
 議員任期の延長について、五会派間の幾つかの相違点については、私は次のような方向で合意できないかと考えています。その際、憲法四十五条、四十六条で明記された国会議員の任期の例外を設けるものであること、また、そのときの政権が国政選挙の実施を恣意的に引き延ばすのではないかとの懸念を指摘する意見もあることも考慮し、議員任期の延長の手続要件については厳格に定めることが肝要と考えます。
 まず第一に、国会の議決要件です。特別多数の三分の二以上とすべきです。国会議員の任期は議会制民主主義の土俵に関わる事柄で、衆議院議員は原則四年、参議院議員は六年と憲法上明記されています。緊急事態において議員任期の延長を認めるとすると、これはその重大な例外となるもので、やはり国会の承認には各議院の三分の二の特別多数が必要と厳格に考えるのが適切と考えます。このことにつきましては、自民党の新藤幹事も否定されていないことと推察をしております。
 第二に、司法の関与です。
 内閣による選挙困難事態の認定と議員任期の延長に司法の一定の関与を認めるべきとの主張は検討に値します。
 ただ、以前にも述べましたように、憲法裁判所の創設には、その是非自体に多くの論点があります。また、現行憲法の統治機構の在り方に大きな変更をもたらすもので、憲法の改正が必要であることは言うまでもありません。直ちにその創設ができるものではなく、緊急事態における議員任期延長の課題とは切り離して論議されるべきと思います。
 現行憲法の違憲審査制度の下で、選挙訴訟や国民投票無効訴訟のように、別に法律で要件、手続等を定めて法適用の客観的適正を保障する、いわゆる客観訴訟と言われる訴訟類型を創設するのが適切と考えます。
 第三に、任期延長の上限です。
 議員任期の延長期間は六月以内とすべきと考えます。また、再延長は同じ手続で可能とします。一年とする意見もありますが、憲法で定めた任期の例外規定としては厳格な要件とすべきです。また、延長された任期の期間内であっても、選挙困難事態の解消、すなわち国会が選挙の適正な実施が可能と議決すれば任期は終了することは当然ですし、その議決は過半数で足りるとすることも異論はありません。
 以前の審査会で、私は、選挙期日の延期は、同一の事態で、最初の選挙の困難事態の認定から通算して一年を超えることはできないとしてはどうかとの意見を述べましたが、ご検討いただければと思っております。国難ともいうべき緊急事態だからこそ、国民の信任が不可欠で、議会の民主的正統性の確保を図っていかねばなりません。
 東日本大震災の際、選挙期日を延期した理由は、有権者である住民が極めて甚大な被害、被災を受け、到底選挙ができる状況でないということですが、一方で、選挙事務の執行も事実上不可能であったという事情も重視されなければなりません。たとえ緊急事態の状況が継続していても、事態発生の初期と一年経過後とでは事情が相当異なっているはずです。
 新たな緊急事態の発生があると認められない限り、一年という時間経過がある中で選挙を実施しなければならないとすることによって、民主的正統性の確保という要請に応えるべきと考えます。
 第四に、衆議院議員の身分復活規定です。
 内閣による衆議院の解散は、衆議院議員の身分を失わせることと、解散から四十日以内に総選挙を実施することの密接不可分な二つの効果をもたらします。したがって、内閣が選挙困難事態と認定し、総選挙の実施を延期した場合、衆議院解散の意義が失われ、衆議院議員の身分を復活させるのが適切と考えます。ただし、このことは、当然のことながら、憲法上明記しなければならない事項となります。
 自民、公明、維新、国民、有志の五会派間では、できるだけ速やかに一致点を見出せられるよう検討を積み重ねたいと考えます。また、立憲民主党の皆さんも、選挙困難事態における議員任期の延長を完全に否定されているわけではないと受け止めております。審査会でできる限り幅広い合意が形成できるよう、さらに論議を深めたいと考えます。 以上です。

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