緊急時の国会議員の任期延長で見解
大規模災害の緊急時、繰延べ投票では限界あり
国会機能の維持、国民の生命・財産を守るためには
憲法改正による議員任期の延長が必要
公明党の北側一雄です。
先ほど(立憲民主党の)逢坂(憲法審査会・幹事)さんの方から、これは前回もおっしゃっていたと思いますけれども、災害に強い選挙事務体制をつくらないといけない。これには全くそのとおりでして、これに反対をするような人たちはいないだろうと思うんです。しっかり具体的に、災害時でも選挙が執行できるようなそういう仕組みを、オンライン投票も含めて、しっかり進めていくということなんだろうと思うんですね。ただ、そこもやはり限界があるということを申し上げたいと思います。
逢坂さんの方では繰延べ投票の話も少しされていましたが、この審査会でも、繰延べ投票制度はどこまでできるのかという議論は相当やってきたわけです。
この繰延べ投票制度というのは公職選挙法に規定があるりますけれども、天災その他避けることのできない事故により投票所において投票を行うことができないときには、選管が決めるんです、選管は、更に期日を定めて投票をするというふうに決めているんですね。
これまでこの繰延べ投票制度が実施された例というのはそんなに多くなくて、少ないんです。先ほど逢坂さんもおっしゃったように、選挙事務に携わっている方々はできるだけ予定どおり実行していこうと努力をされますので、極めて少ない。
少ないけれども、その例を見ますと、一つの自治体の、本当に一部の地域である場合が多いんですね。それも、繰延べするのはせいぜい一週間程度です。どんなことが原因だったかというと、集中豪雨、それから台風。こういうときに、一部の本当に限定された地域で、これは投票することが困難だと言われるような場合に、過去幾つか、繰延べ投票が実施されたという例があるんです。これが繰延べ投票制度です。
これを使って、例えば東日本大震災のときに、あの広範な地域で繰延べ投票ができるかというと、できるわけありません。被災東北三県、そして茨城県の水戸市、この全域において全て繰延べ投票、それも、実際選挙ができたのは半年以上先の話なんです。これはもう繰延べ投票の範囲をはるかに超えている事態が発生していると言わざるを得ないわけで、繰延べ投票制度には極めて限界があるんだということも、是非ご理解いただきたいと思います。
その上で、選挙困難事態ということを見るときに、私は、これも以前申し上げているのですが、二つの視点があると思うんです。
一つは、有権者の側から。東日本大震災のときに、被災地域の有権者の方々は、いかに避難をしていくか、いかに自分の命を守るか、また家族の人たちの命を守るか、これで本当に、当初大変なわけですよね。そして応急復旧活動というふうに続くわけであり、有権者の側から見ると、とてもとても、長期間これは投票できる環境にないという有権者側の視点です。
もう一つの視点は、これは逢坂さんがかつて首長を経験されていらっしゃいましたから一番よく分かると思いますが、選挙というのは、選挙事務をつかさどる方々がいないとできないんですね。もう本当に多くの人が選管を中心として選挙事務に携わっていただいているわけです。こういう方々がいないと、適正な選挙は実行できません。
ということは、巨大な地震等で、東日本大震災のような、そういう大震災が起こったときには、まず、その人たち自身も被災者なわけです。東北三県の方々は皆、被災者です。そういう被災者の方々が公務員であるということで選挙事務が執行できるかというと、とてもできない。かつ、そのときは何をしているかというと、市を挙げて、地方自治体を挙げて救命活動に、復旧活動に取り組んでいるわけです。それも、その地方自治体の方々だけではありません、全国の自治体からその被災地に乗り込んで、まさしく活動されているわけです。そういう中で、本当に適正な選挙が実行できるのかというと、やはりできない場合がありますよね、これが選挙困難事態です。
ということで今回、このような大災害等の緊急時においても、国会の機能、二院制を原則とする国会の機能を維持するために、そして国民の生命や財産を守るために、選挙期日の延期とともに議員任期の延長ということを議論していきましょうと。これは憲法改正するしかありません。そういう議論を、この二年余りの間、この審査会では非常に集中して議論がなされてきたという経緯でございまして、立法事実そのものは明らかにあると改めて申し上げたいと思うわけです。
ご感想がありましたら、是非ご意見をお聞かせ願いたいと思います。