選挙困難事態の詳細な基準は法律の中で明確にすべき

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

東日本大震災による選挙困難事態を想定した場合、69人の国会議員がいない状況が長期間続くことになる。果たして国民の権利、財産を的確に守ることができるのか

 いくつかご質問いただきましたので、時間の範囲内でお答えしたいと思います。
 まず、今日もいろいろな方から御指摘があったんですが、選挙困難事態の認定、ここがやはり明確でなければいけないというのは、全くそのとおりだと思います。濫用を防がないといけない、それは全くそのとおり、お手盛りになってはいけないわけです。
 そういう意味で、この選挙困難事態、私どもはどう定義をしているかというと、選挙の一体性が害されるほどの広範性、そして七十日を超えるほどの長期性、仮に憲法の改正条項をつくるとすると、こういう言葉が入るんですが、その上で、さらに詳細な選挙困難事態の基準といいますか、そこはより明確にしていかねばならない。これは多分、法律の中で書いていくことになるんだろうと思っております。
 そのときに、やはり極めて参考になるのは、私たちが経験した東日本大震災だと私は思っています。
 あの二〇一一年の三・一一のときを思い起こしますと、これは被災地はもちろんですけれども、被災地以外の地域においても大変な状況になっていたんです。そのことは多分、御理解いただけるんじゃないかと思うんですね。そして、被災地の復旧復興のために全国の自治体から、全国の多くの団体の方々が被災地に入り込んで、これはかなり長期間入り込んで復旧復興に全力を尽くしたというのが、あのときの私の記憶でございます。
 そういう中で、本当に国政選挙を実施できるのかというと、これは容易でないというのがあのときの私の実感です。先ほども(国民民主党代表の)玉木さんからも話がありましたが、東北の被災三県で小選挙区は十二あるんですね。当然、東北ブロックは全部確定をしない。そして北関東ブロックも、一部小選挙区と比例区が確定しない。こういう結果になります。そして、被災地の議員を含めて六十九人が選出されない状況。これはやはり、まあ、ここは評価の問題かもしれません、被災地の選出議員がいないという状況が長期間続くというのは、私は、いいとはとても思えないんです。
 以前にもお話があったとおり、この間に、議員立法を含めて、東日本大震災の復旧復興のための法律を、また予算をたくさんつくっているんですね。当たり前の話です。そして、議員立法もたくさんある。
 こういう状況下で、やはり、六十九名の議員が、被災地の方を中心として、いないという状況は、果たして本当に、国の唯一の立法機関として国民の権利、財産を守っていくということが的確にできるのかということは、やはり考えないといけないのではないかと私は思います。
 それから、司法の関与の話がありました。
 客観訴訟。客観訴訟というのは、現行の選挙のときの一票の価値の平等についての訴訟ですけれども、これは、別に法律で要件とか手続を定めて、選挙制度が適正に適用されることを保障していく、憲法の下での選挙制度が適正に運用されることを保障していく、これが客観訴訟なんですね。
 仮に、選挙期日の延期をする、そして議員任期の延長をするということを内閣、国会で決めたときに、そこに明らかに問題がある場合に客観訴訟ができるような制度の仕組みをつくっていく。これは制度設計の問題です。例えば、訴訟を起こしたならば何日以内に裁判所は判断をしなければいけないだとか、これは制度設計でできることですので、さらにしっかり法律の中で、この客観訴訟のありようを是非議論させていただきたいと思います。
 それから、任期延長の上限についても、一年と定めた方がいいんじゃないかというふうに我々は提案しておりますが、これはまさしく濫用防止との関係でも、十分、この一年の上限というのは妥当性があるんじゃないかと思っているんです。あの東日本大震災のときでさえ、最長九か月ぐらいでしょうか、そのころには選挙ができています。
 それと、実際は、大災害があったときと、それからその一年後の状況というのは違うと思うんです。違う。一年後にきちんと選挙ができるように、じゃ、どう地元でやっていくかということは当然できるわけでして、ここは、民主的に議員を選んでいくという意味、そちらの方を優先して一年という上限を求めていくというのは、濫用防止の観点からも、現実的にも可能ではないかと思っております。
 それから、内閣不信任案の提出を禁止をしている、ここはいろいろ議論があるんだろうと思います。内閣不信任案の提出を認めてしまいますと、原則は解散ができるはずなんですね。ところが、解散禁止規定があるわけですよ。そうすると、内閣総辞職をすぐにしないといけない、これだけの効果になってしまって、果たして三権分立の観点からどうなんだ、ここの議論はあると思うんです。
 ただ、確かに、選挙期日が延期をしている間に不信任案を出さないといけないような状況が全くないかというと、それはあり得るわけで、ここは十分議論の余地があるというか、内閣不信任案の提出についてもできるという判断もあり得るのかなというふうに考えております。
 それから、うちの党の参議院側との調整の話が幾つか出ておりましたが、やはり参議院側からすると、参議院の重要な権能である緊急集会の権限が制約されてしまうのではないか、こういう気持ちが当然あるわけなんです。そして一方で、先ほどの選挙困難事態というのが濫用されていくのではないか、そういうことも当然懸念しています。
 そういう中で、いろいろな意見があるのはむしろ当たり前でございまして、ここはしっかり党内でも意見調整、私はできると思っておりますけれども、しっかり合意が形成できるように今後努めていきたいと思っています。以上です。

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