長期間、国政選挙の実施が困難の場合、特別な措置が必要

衆院憲法審査会で北側一雄副代表

東日本大震災のような大規模災害が衆院解散直後にあった場合、繰延べ投票では困難であり特別な措置を取らなければならない

 公明党の北側一雄です。
 先ほどの(自由民主党の)細野さんの質問で、東日本大震災当時、(立憲民主党の)逢坂さんが総務大臣政務官でいらっしゃったと聞きまして、初めてそのことを知りました。
 あのとき、二〇一一年三月十一日ですよね、震災は。一番最初に総務省が当時、急いでやった特別立法というのは何かというと、まさしく選挙期日を延ばす法律だったんですよね。
 ちょっと調べてみましたら、三月十一日に震災が発生して、統一選は四月十日が前半の投票日だったんです。四月十日が投票日ということは、知事選の告示は三月二十四日だったんですよ。もうあと、震災の日から十三日後に知事選の告示日がある。さらに引き続き政令市の告示、それから県会、政令市会の告示と、ずっと続くわけですね。
 だから、総務省が、あの震災があったときに、様々な対応をしないといけないんですが、統一地方選挙がもう迫っているわけですね。これをこのままやっていいのかということが当然、総務省内で議論になって、これはできないということで、特別立法を国会に提出をされるんですね。
 この特別立法が成立するのが、早いんですよ。それはもう告示が迫っていますから。三月十八日、三・一一の一週間後にはこの特別措置法が参議院で可決されて成立し、三月二十二日に公布されているんです。それで何とか二十四日の知事選の告示に間に合わせたということなんですね。
 当時、総務大臣は片山さんですよね。片山さんが、この法案の質疑のときに、こういう答弁をしているんです。繰延べ投票というのは、これはちょっと趣旨が異なりまして、告示をして既に選挙が走っている間に、その選挙期間中に何か不測の事態が生じて投票できないといったときに投票日を延ばす、これが繰延べ投票ですと大臣は答弁されて、この法案、今申し上げた東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例法案は、もう目前に迫った四月の選挙で今月中にも告示が始まったりしますので、これは急いで手当てをしないといけないということで、この法案を出したんです、こういう答弁を当時されているわけです。
 まさしく逢坂さんは、大臣政務官であれば、当然、この法案の立案、作成にも関わっていらっしゃったと思うんですよ。だから、こういう事態には、繰延べ投票ではなくて、選挙期日を延ばすという形で新たな法律を、被災地全体で適用になるようにしたわけですね。
 これが、もし衆議院議員選挙、参議院議員選挙であったならば、これも同様に、繰延べ投票では困難であって、長期間、選挙実施が困難、見通せないわけですから、その場合にやはり特別な措置を取らないといけないというのは、私は、当時、政務官をされていらっしゃったのならば、そういう問題意識を持っていらっしゃったと思うんですけれども、いかがですか。

(立憲・逢坂委員より)当時、私も片山大臣と随分この問題、話をしました。そのときの大原則は、選挙期日はなるべく変えない、決められた選挙はなるべくそのとおりやる、これが民主主義の大原則であるという議論を相当、大臣室でもやりまして、しかしながら、この事態の中では、もう一週間後、十日後に迫っているものについては何の対策も講じられていない、だから、必要最小限で何をすべきかということで、ああいう結果になったと承知しています。
 繰延べ投票そのものについても、今るるお話がございましたけれども、現行制度でいいのかどうかという議論もありました。ただ、あの時点で、繰延べ投票を変えるというタイミングではありませんでしたので、そのことについての深い議論は残念ながらなかったということであります、などの発言あり。

北側委員 私は、阪神・淡路の震災の経験者です。そのときに、やはり同じような法律を作っているんですね。選挙期日を延期する、任期を延長するという法律を阪神で作っている。東日本は、初めてじゃないんです、二回目なんですね。そういう意味では、実績があったわけですよ。こういう大震災、巨大地震が起こったときにはこういう仕組みで、やり方でやるしかないという御判断が総務省には私はあったと思いますよ。

(逢坂委員より)私も繰り返し言っているんですけれども、九三年の奥尻、それから九五年の阪神・淡路、それから二〇一一年の東日本、こういう大震災があって、そのときに選挙をどうするんだという議論はあったことは私も十分承知はしています。特に、九三年の奥尻は、解散の真っ最中でありましたので。ただ、私が何度も指摘しているのは、そういうことがあったにもかかわらず、災害に強い選挙の在り方について、問題点は指摘するけれども、それじゃ具体的な対応、対策が取られているかというと、十分ではないと思うんです。だから、そこの対策をまずしっかりやろうと。
 例えば、選挙時の自治体間協力なんかも、これは十分議論されているわけではないし、その対応がつくられているわけではないんです。消防でいうならば、例えば緊急消防援助隊なるものがあって、災害時にお互い協力し合おうということをやっているわけです。
 だから、そういったことも頭に置きながら、どうやって災害時に選挙が執行できるかということを、八方手を尽くそうというのが私の今の思いです、などの発言あり。

北側委員 今おっしゃっていることに反論は、だれもしないですよ。みんなそう思っているわけです。
 そうじゃなくて、東日本大震災のような、そういう震災が例えば衆議院の解散の直後にあった場合に、どう対応するのかという話をしているわけでして。
 奥尻のお話がありました。今年も能登の地震がありました。そういうことを想定しているわけじゃないんです。今回の法改正というのは、憲法を、条項を触ろうというのは、そういうことじゃなくて、東日本大震災のような巨大地震、広範な、長期間、そういう選挙が困難だと認められる場合にどうするか、その場合に国会機能をどう維持するんだということを問うているわけです。ぜひ御理解いただきたいと思います。

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