対談企画

北がわ一雄と大平光代 対談

「今日を生きる」

北側初めて大平さんとお会いしたのは、2005年の淀川の桜の植樹式でしたね。私は国土交通大臣として出席し、大平さんは大阪市の助役をされていた時でした。

大平北側さんとは、共通の友人である竹中ナミさんを介して、これまで公私に渡って楽しくお付き合いさせていただいてきました。助役の在任中は、大変にお世話になり本当に感謝しています。

北側そして、まさか、弁護士の川下清さんと結婚されるとは……。川下さんとは、司法修習の同期で、席も隣合わせ。30年以上も親しくしてきた親友でしたから。

大平私も驚きましたし、本当にうれしかったです。北側さんとは不思議なご縁を感じます。

北側7月に出版された著作「今日を生きる」を感銘しつつ一気に読ませていただきました。最後に「ダウン症児の母となって、何が自分にとって大切であるか初めて 分かりました」と書かれていましたね。大平さんは、これまで、さまざまな経験をされてきたなかで、愛娘「悠(はるか)ちゃん」との今の生活に、一番幸せを 感じておられるんでしょうね。

大平私は、運良くいい人に巡り会えて立ち直ることができました。だから、弁護士になってからもまた、助役になってからも、その恩を社会に返さないといけないという義務感で走っていました。

北側大平さんは、常に正義感を強く持たれて、仕事に奔走されてきました。

大平しかし、自分を消耗品のように扱って、あすのために、きょうを犠牲にしていました。しかし、娘が生まれ、ダウン症のほかにも合併症を抱えていて、どのくら い生きられるかわからない状況でした。じゃあ、あすのことばかり考えるのではなくて、この子との一日一日を大切に生きたいと思うようになったんです。

「安心の子育てを」

北側現実をありのまま受け止めて、プラス思考で生きようとされる大平さんの強い生き方に共感します。大平さんが今、子育てに向き合われているように、私は、これからの日本にとって、「教育」こそ、最も重視されるべきであると考えています。

大平これから社会を支えていく子どもの世代をどう大切にするかという点に力をいれないと、例えば年金問題といっても、根本的な解決にはならないと思うんです。

北側私たちは、今回の補正予算で、妊産婦検診の14回無償化を実施することができました。これまでは、地方交付税措置でしたので、財政が厳しい自治体では、負担できないところもありました。しかし、今は、99%の自治体が14回無償化を実施しているとの報告を受けています。

大平ありがとうございます。妊婦検診は自費なのでかなり家計に響くと思います。緊急出産の際の救急車のたらい回しも、検診を受けていないことが問題でした。

北側今は二年間の時限措置ですが、必ず、制度化したいと考えています。他にも、出産育児一時金を増額し42万円へ拡充するなど、我々は子育て支援に力を入れて います。公明党が連立に入る10年前は、2歳までだった児童手当も、今は小学校6年生まで拡大できました。今後も財源を確保して、中学3年生まで広げていきたいと思っています。

「社会全体で支える」

大平本当に力強いです。これからも、安心して産み育てる環境を整えていっていただきたいと思います。今、核家族化が進んでいて、母子が家に閉じこもりがちです。少しでも話を聞いてくれる人がいれば、虐待も防げるはずです。

北側家庭だけでなく、地域全体が子育てに関わる。社会全体が子育てを応援できるようなしくみをどう築くのが大切です。日本は資源がないので、これまで人を育てることに力を入れてきました。その人材、技術力で、国を豊かにしてきました。やはりこれらかも、教育が大切ですね。

大平北側さんは、個人的に見れば「いい親父」。政治家として見れば、「頼もしいリーダー」です。この人に任せれば安心という信頼感を持てる方です。私も、主人も、困ったことがあれば、北側さんに言えば絶対大丈夫やと思っています。

北側恐縮です。それにしても、「いい親父」ですか…(笑い)。

大平北側さんは、一人一人をきっちりと見ておられます。温かさが伝わる「血の通った政治家」といいますか、親しみと信頼を兼ね備えた人だと思います。これから も、新しいリーダーとして、若い人たちもどんどん引っ張って、新しい日本を、子どもたちの未来を開いていっていただきたいです。

大平光代 弁護士プロフィール

29歳で司法試験に合格。
弁護士として活躍し、非行少年の更生に努める。
05年まで大阪市助役を。06年に結婚し、娘・悠(はるか)ちゃんを出産する。
現在、兵庫県丹波市に移り住み、大自然のなかで、遥ちゃんの子育てに奮闘する

著書
だから、あなたも生きぬいて
(講談社、2000年)
あなたはひとりじゃない 悩める母たちへ子供たちへ
( 光文社、2001年)
応援します、あなたの旅立ち 大平流「独学」のすすめ
(講談社、2002年)

ベストセラー「だから、あなたも生きぬいて」や、ダウン症児の母となった日々を綴った近著、「今日を生きる」で話題の、弁護士・大平光代さんと対談。 子育てとこれからの社会について語り合いました。

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