北がわのビジョン

経済の再建なくして財政再建なし

政策の優先順位を誤るな

 今、消費税増税のことが争点となっています。私も、高齢社会を支える社会保障の安定化や機能強化のためには、近い将来の消費税率の引き上げは避けて通れない課題と考えています
しかしながら、政策の優先順位を誤ってはならないと思います。
今、政府が取り組むべき最優先課題は、わが国経済の再生です。経済の着実な発展なくして、財政の再建も社会保障の安定も図れません。
歴史的な円高、長引くデフレで、多くの企業が苦しんでいます。強力な経済対策を実行し、円高、デフレと果敢に戦うことこそ、今、早急に政府が取り組むべき課題です。

総合的な円高・デフレへの経済対策を急げ

 国際競争の激しいこの時代、いかに国内企業が優れた技術力を持とうと、コスト削減の努力をしようと、異常な円高によって、収益を大幅に減らしてしまう実情です。
このような状況では、企業は生産拠点を海外へ移転せざるを得なくなり、産業の空洞化に拍車をかけます。雇用にも大きな悪影響を与えてしまいます。
 今、政府、日銀が連携し、さらなる金融緩和を実行するとともに、為替市場への思い切った介入も躊躇してはなりません。
デフレとは、持続的な物価下落、需要不足のことです。需給ギャップが15兆円とも30兆円ともいわれています。まず、デフレから脱却することが急務です。日銀の金融緩和だけでは、需要の創出にはつながりません。それとともに、政府が、需要創出のための総合的な経済対策を打ち出していかねばなりません。そのキーワードは、防災・減災に向けての「危機管理」だと考えます。

計画的な防災、減災対策を

 東日本大震災での被災地の復興需要に、迅速かつ的確に応えていくことは、経済的に、需要を創出させることにもつながります。
今、全国的に防災の意識が高まっています。首都圏直下地震、東海・東南海・南海の3連動地震なども危惧されています。大災害への備えを進める絶好のチャンスです。防災対策には、ハード、ソフト両面からが必要です。まずは、学校や病院などの防災拠点となる公共施設の耐震化をさらに進めるとともに、防災機能の強化を図っていくことが不可欠です。
さらに、わが国の道路、橋、下水道、港湾などの社会インフラは、高度経済成長時代の1960年代から急速に整備されました。例えば、高速道路では、首都高速道路は1962年から、阪神高速道路は1964年から整備がなされました。阪神高速の環状線全線開通は1967年、堺線開通は1970年です。
こうした社会インフラが徐々に老朽化してきており、国土交通省の調査では、2029年には、社会インフラ全体の51%が建築から50年以上を経過します。コンクリートの寿命は早くて50年といわれています。
災害に強い社会インフラを再構築してゆくことは、決して無駄な公共投資ではなく、将来の減災に直結しています。10年単位での計画的な防災、減災対策を策定し、実施してゆくことは、確かな内需の拡大につながってゆきます。

堺浜に「基幹的広域防災拠点」

堺浜に基幹的広域防災拠点

 この4月1日から、堺浜に完成した「基幹的広域防災拠点」が供用開始となります。
 この「防災拠点」は、私が国土交通大臣のときに国の事業として設置を決定し、平成17年から事業を進め、ようやく完成に至ったものです。防災拠点につながる堺浜の幹線道路3.5㎞、水深7.5mの耐震強化岸壁、そして広域防災拠点27.9haの三点セットの大事業でした。
 京阪神圏などで地震などの大災害があったとき、ここには救援部隊のベースキャンプが設営され、被災地への救援物資の中継基地となり、ヘリポートを活用しての医療支援なども行われます。海水を淡水化する施設や、自家発電式電灯などの機材も備蓄されています。
 平時は、「海とのふれあい広場」となり、自然と触れあえる大きな公園、緑地として市民に開放され、防災意識を啓発する拠点ともなります。

新成長分野への投資促進を

 以上のような防災・減災に向けての、必要な公共投資を大胆に実施し、当面のデフレから脱却することが、まず重要です。
 それとともに、エネルギー、環境、教育、医療・介護などの新成長分野に、政府投資を重点化する。また民間投資を促進するための大胆な投資減税や補助制度など、成長戦略を実施すべきです。さらには、製造業などの国内立地を推進するためのインセンティブ政策も重要です。
 こうした総合的な経済対策を強力に推進することが、今、求められているのではないでしょうか。
 繰り返しますが、異常な円高とデフレを止めない限り、消費税率を引き上げても税収は増えません。経済の再建なくして財政再建なしです。

堺東ロータリークラブにて(2012/3/27)

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